上海市在住の日本人は2013年10月時点で前年同期に比べておよそ1万人が減少し、約4万7700人になった。北京や上海だけでなく、中国全土で日本人の「Uターン」が起きている、というのがもっぱらの見方だ。

 日本企業の進出数は減っていないことから、駐在員本人は現地に残し、家族だけ日本に帰る現象が起きているようだ。

 中国に約13年間暮らした経験があるフリーライターの小林さゆりさんは、こう指摘する。

「日中関係の悪化、進出企業の現地化による駐在員の削減など、Uターン現象には複合的な原因がありますが、最も大きいのはやはり環境問題です」

 観光やビジネスで中国を訪れる日本人も大きく減り、日本人全体がいまや中国から「引き気味」になっているようだ。

 ただ、日本を訪れる中国人は増えており、日本に留学する中国人も減っていない。小林さんは、見通しをこう話す。

「中国人は表向き日本が嫌いという人でも、日本の環境のよさ、住みやすさ、生活の便利さが内心は大好き。日本人の中国アレルギーのほうが根深いようです。中国の環境問題は改善まで少なくとも10年は必要と言われており、中国で日本人が再び増える日が来るには時間がかかりそうです」

AERA 2014年6月9日号より抜粋