子育てを支援する新しいネットワークがある。「子育てシェア」とも言えるこの方法で、助けられる母親は7000人にも及ぶという。
「子育てを理由に、親が何かを諦めたり我慢したりするべきではない。そんな社会を絶対に変えたかったんです」
この「子育てシェア」を始めた、AsMama(アズママ、横浜市)の甲田恵子さん(38)は思いを語る。
自身も小学3年生の娘を持ち子育て真っ最中。20代から30代前半の会社員時代は「キャリアウーマン」志向。だが、人員削減にあい退社。その時に通った職業訓練学校で、同世代の女性が高額のベビーシッター代を払えず、キャリアを捨て「失業者」になるケースがあまりにも多いことを知った。
子育てをシェアできれば、もっと働いたり、やりたいことをしたりできる人が増える──。2009年11月にアズママを設立。各地で親子交流イベントを開いたりしながら、昨年4月に「子育てシェア」を始めた。
誰もやったことがない「子育てシェア」というシステム。登録は、パソコンや携帯電話から誰でも無料でできる。登録時に子どもが通う園や学校情報を入力すると、同じ園や学校の親同士が自動的につながる。さらに、友だち検索機能で「知人・友人」を探してつながっておくことも可能。この時点でお互い「顔見知り」になるので、「知らない人に預ける」という心配がなくなる。ここが、民間のベビーシッターや自治体の託児サービスと決定的に違う点だ。
会員は依頼者にも支援者にもなれる。
「お迎えが間に合わない! 誰かお願い!!」「わたし行けますよ~」
アズママの交流サイトでは、こうしたやりとりが飛び交う。助けてほしい時、サイトにログインしてメッセージを書き込むと、メールで返事が来る仕組みだ。「支援者不在」の場合は、アズママの託児研修を受けた保育士資格などを持つ「ママサポーター」が助けに来る。
※AERA 2014年4月21日号より抜粋