(photo 写真部・関口達朗)
(photo 写真部・関口達朗)

これだけ共働きが増えても、夫は妻が家事をすることで満足する。
「良妻賢母」の幻想と現実。どんな妻なら重荷にならないのか。
(編集部 小林明子)

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 約束が違う。

 昨年1月に結婚したPR会社員(26)は、同い年の妻と共働きを続けようと話し合っていた。なのに結婚半年で妊娠がわかった途端、妻は派遣の仕事を辞めて専業主婦になりたいと言い始めたのだ。

 家計は分担し、料理は妻、洗濯は夫、掃除はルンバが担当。男性の年収は400万円だが、たとえ1千万円あったとしても、妻にはずっと働いていてほしい。

「働かない理由がわからない。江戸時代じゃあるまいし、家事は機械化されて誰にでもできる単純作業。家にいることにどれだけの価値があるのか」

 妻は子どもと過ごす時間の大切さを強調する。

●夕食4品以上で満足

「じゃあ僕が育児休業を取って子育てに専念するから、君が働いて」

 と言い返すと、それは許さないと言う。

「家政婦を雇うために結婚したわけじゃない。一緒にいたいから結婚したんだ」

 精いっぱいの愛をこめたメッセージのつもりだ。だが、葛藤もある。

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