邪魔な母子に土下座強要、撮り鉄のマナー暴走中 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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邪魔な母子に土下座強要、撮り鉄のマナー暴走中

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「謝れやー!」
「返して! 返して下さい!!」

 飛び交う罵声と怒号、土下座をする女性──。楽しいはずの列車のイベント会場で、一体、何があったのか。

 動画サイトにアップされた「事件」が、鉄ちゃん(鉄道ファン)たちの間で物議を醸している。会場で、「撮り鉄」(写真を撮る鉄道ファン)と見られる中年男性が小さな男の子を取り上げ、その子の母親をすごい剣幕で恫喝しているのだ。

 どうやら、男の子が車両に近寄ったりして撮影の邪魔になり、怒ってその子を取り上げたらしい。母親は地面に土下座し、「○○を返して!」と、わが子の名を呼んで懇願。現場は騒然となり、イベント関係者や警備員も駆けつける。男性は子どもを母親に返すが、サイトには、〈サイテー〉〈悪くない鉄道ファンまで悪く扱われる……〉そんなコメントが数多く寄せられている。

 写真への「執念」、にじみ出るドロドロした「情念」。ここまで夢中になる撮り鉄の心理は、「いい写真を撮りたい」に尽きるだろう。だが、鉄道評論家の川島令三(りょうぞう)さん(62)は、「線路への侵入は法律違反。マナー以前の問題」と厳しくいさめる。

 線路や踏切への立ち入りは「鉄道営業法」で禁じられている。違反した場合は1千円以上1万円未満の科料となり、列車が止まれば、刑法の往来危険罪が適用されることもある。

 撮り鉄歴45年の早坂元興(もとおき)元アサヒカメラ編集長は言う。

「もともと、撮り鉄にはある程度のルールがあった」

 早坂元編集長によると、ベテラン撮り鉄が多い「お立ち台」と言われる撮影ポイントで列車を撮る際は、列車の全編成が入る位置から、70~200ミリの望遠レンズなどを使い線路から下がって、譲り合いながら撮るのが暗黙の了解。それが、近年携帯電話やコンパクトカメラが普及し、誰でも気軽に写真を撮れるようになって状況が変わった。これらのカメラは広角レンズが中心で、被写体を大きく撮るには自然と前に出ざるを得ない。その結果、車体や線路近くに人が密集し、トラブルを引き起こすなど、マナーの劣化にもつながったと見る。

「昔は、最初ベテランに連れて行ってもらい、マナーを教わったものだが、今はインターネットで情報が簡単に入るので、一人で行くようになった。マナーを学ぶ機会も減り、危険な行動も目立ち始めている。そうした変化がモラルハザードを引き起こしているのかもしれません」

AERA 2013年4月22日号


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