年収300万円時代到来とも言われ、消費税増税で負担も増す。そんな中、子どもに習い事をさせる母親たちの間では、さまざまな工夫が行われている。

 大阪市内の病院でパートで働く女性(43)は、最近になって小1の息子の習い事を二つやめた。理由は第2子の妊娠に加え、上の子がいるママたちの多くが、「英語と水泳はあまり意味がなかった」と言うからだ。

 たしかに幼稚園時代から始めた水泳は、後から始めた同級生にあっという間に抜かれた。「何となく不安」で始めた英語も、息子は音声が出るペンが面白いから通っているだけ。半年たっても、ひと言も話さない。

「水泳スクールの無料体験レッスンを3カ所巡って基本だけ身につけたという図太いママもいましたが、さすがにマネできなくて。でも今後は、公営プールを活用します」

 専門学校勤務の女性(39)は、自治体などが主催する格安の習い事を駆使している。3年前には東京都などが主催する「キッズ伝統芸能体験」というプログラムの日本舞踊を、当時小4だった娘が体験。狂言や筝曲、三味線などの伝統芸能から選択できて、費用は1回550円程度だった。約7カ月間、発表会に向け18回稽古に通った。

「指導者はその道の第一線で活躍するプロの方々。子どもの狂言のレッスンを見学していた知人は、お手本に感激して、急に狂言ファンになっていました」

 小1の息子は、学校内で実施されている将棋教室に月2回通う。いま書道も申し込んでいるが、どちらも無料だ。自治体主催の水泳教室は毎週日曜日、近所の学校のプールで講師に指導してもらえて、保険と施設使用料で1回200円。いずれも通っている小学校で申し込み用紙や案内が配られた。近所の民間スイミングスクールに通えば月4回で7500円に加え入会金も必要なので、この料金はうれしい。

 こうした情報は自治体の広報紙から得るのが王道だ。近所に公共の施設があるなら、そこの情報をチェックする手もある。

AERA 2012年10月29日号