苦しい生活と将来への不安「これって私のせい?」 国会議員と建前ナシで政治問答!

2021/11/16 20:00

『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』和田靜香,小川淳也(取材協力) 左右社
『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』和田靜香,小川淳也(取材協力) 左右社


 書籍『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』の著者である和田靜香さんは現在56歳。1985年、20歳のときに音楽評論家・作詞家の湯川れい子さんのアシスタントになり、1996年に独立。1990年代から2000年代にかけてはCDバブルのおかげで音楽ライターとして活動できていたものの、2008年頃を境に仕事は激減。ライター業と並行して、コンビニ、パン屋、スーパーなどの飲食系を中心に、最低賃金の時給で働きながら人生を送ってきました。しかしコロナ禍の煽りを受け、バイトはあっさりと解雇されてしまいます。
「日本はこれからどうなっちゃうんだろう? 私はここで、どう生きたらいいんだろう?」(本書より)
 そんな不安に苛まれた和田さんが取った行動は......。
「2020年11月、私は東京の地下鉄・永田町の駅に降り立った。向かうのは衆議院第二議員会館。国会議員に、直接聞いてみることにした」(本書より)
 えぇぇ、なんでそうなるの! ムチャしすぎでしょ!
 実は和田さんは、衆議院議員・小川淳也さんを追ったドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』(2020年公開)を観て感動し、小川さんのインタビュー記事を執筆した経験があります。その縁から本書の"政治問答365日"がスタートしました。
 とはいえ、まったくと言っていいほど政治の知識がなかった和田さん。「何がわからないかわからない」ところから始まり、小川さんの著書やおすすめされた本を読み、小川さんに食らいつきながら質問を続けることで、和田さんがさまざまな日本の課題を知っていく過程がつづられています。
 生活苦の根源として横たわる人口問題に始まり、値上がりし続ける税金、年齢や性別による雇用の差別、環境やエネルギー、原発問題などなど......。そのどれもが、政治に詳しくない人でもわかりやすい内容になっています。なぜなら、専門家が専門的な視点から書いたものではなく、政治のアマチュアである和田さんが労働者の視点で考え、小川さんに疑問を投げかけているからです。
 第1章「生きづらいのは自分のせい?」の「応援する候補者が当選したためしがない」や「政治が分からないまま大人になった」、第2章「耳タコの人口問題が生活苦の根源」の「『コロナから国民を守ります』ぐらい言えないのか」や「コラム  税金が高くて払いたくありません」など、和田さんの建前ナシのストレートな表現に共感する人もいるはずです。
 本書には、「生活は苦しい。明日は見えない。そのときに政治家には寄り添った言葉をかけてほしいんです」「今の政治には、それがない。その視線を、政治を司る人が持てたら、その中はずいぶんと変わると思います」という和田さんの言葉に、小川さんが思わず涙を流したエピソードも記されています。
 本書を執筆する際のテーマの一つを「分断しない、させない」に決めた和田さん。大衆のなかの一人と現職の国会議員が真摯に対話を重ねる姿は、民主主義の大切さを示しているようにも感じます。
 もちろん、小川さんの政策や和田さんの考え方に同意できない人もいるでしょう。しかし、そうして自分で考えることこそが、政治に参加する第一歩かもしれません。本書は、「今の日本ってどうなってるの? 知りたいけど難しそう」、そんな思いを抱く人にも手に取っていただきたい一冊です。
[文・鷺ノ宮やよい]

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