9月権利確定の株主優待は、バラエティー豊かな優待品が魅力(写真提供・ともさん氏)
9月権利確定の株主優待は、バラエティー豊かな優待品が魅力(写真提供・ともさん氏)

 初心者からベテランまで幅広い個人投資家に人気の株主優待。9月は一年で2番目に優待銘柄が多い。一方、コロナ禍で優待制度に大きな変化も訪れている。アナリストや人気ブロガーに、これから仕込みたい9月の注目銘柄について聞いた。

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 一定数以上の株式を持つ株主に企業から毎年届く“プレゼント”が株主優待だ。上場企業の4割弱に相当する約1500社が実施している。自社製品や優待券、QUOカードやお米、旬のフルーツ、お酒など種類も豊富なことから、優待を目当てに株式を購入している個人投資家も多い。

 最近、そんな個人投資家から聞こえてくるのが、「保有銘柄の優待が立て続けに廃止になった」「お米と割引券のセットだったが、割引券だけになってしまった」といった嘆きの声だ。

 優待の動向に詳しい野村インベスター・リレーションズ「知って得する株主優待」副編集長の千葉博文氏に尋ねたところ、「確かに、2011年から9年間右肩上がりで推移してきた優待実施企業の数は20年から減少に転じています」という。

(写真提供・ともさん氏)
(写真提供・ともさん氏)

 同社の調査によれば、20年度は新設が48件に対し廃止は75件で、差し引き27件のマイナス。21年度は4~6月の3カ月ですでに新設5件、廃止14件(トータルでマイナス9件)と減少ペースが加速しているようにみえる。旅行や外食など個人投資家に人気の銘柄の多くは、コロナ禍で苦戦を余儀なくされている。いきなり廃止には至らなくても、優待の内容を縮小した企業も少なくない。

 しかし、ネガティブな話題ばかりではない。近年は優待内容の“進化”も目覚ましい。その一つがIT(情報技術)だ。

「電子議決権の行使を優待取得の条件としたり、優待で暗号資産やオンラインクーポンを付与したりと、電子化の進展で柔軟な提供が可能になっています」(千葉氏)

 複数の企業に共通するポイント制の導入、不動産投資型クラウドファンディングの登場など、優待自体の多様化も進んでいる。

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