デイビッド・ハルバースタム。翌日のニューヨークのアパートで。ハルバースタムのインタビューは私の最初の著書『アメリカ・ジャーナリズム』に収録されている。
デイビッド・ハルバースタム。翌日のニューヨークのアパートで。ハルバースタムのインタビューは私の最初の著書『アメリカ・ジャーナリズム』に収録されている。

 アイザックスやハルバースタム、ネイスンそして知り合いの政府関係者の言っていることがごくまともな書き手の姿勢だ。

 このように、新聞記者の姿勢がかわってきてしまった理由のひとつに、ネットでただで読める記事では、取材相手に原稿を事前に見せる、という慣行があり、新聞の記事もそちらにひっぱられていってしまったことがある。が、そうした記事は他でも読めるから、人はお金を払って読もうとはしない。

 ちなみに、上智の私の授業では、学生が調査し、教室の中で発表するという形式をとっているが、同じことを聞かれたら、アイザックスが30年前に私に言ったのと同じことを返すようにしている。

「いかに準備をするか、それが君が相手にできる最大の貢献」

下山 進(しもやま・すすむ)/ ノンフィクション作家・上智大学新聞学科非常勤講師。メディア業界の構造変化や興廃を、綿密な取材をもとに鮮やかに描き、メディアのあるべき姿について発信してきた。主な著書に『2050年のメディア』(文藝春秋)など。

週刊朝日  2023年4月7日号

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下山進

下山進

1993年コロンビア大学ジャーナリズム・スクール国際報道上級課程修了。文藝春秋で長くノンフィクションの編集者をつとめた。聖心女子大学現代教養学部非常勤講師。2018年より、慶應義塾大学総合政策学部特別招聘教授として「2050年のメディア」をテーマにした調査型の講座を開講、その調査の成果を翌年『2050年のメディア』(文藝春秋、2019年)として上梓した。著書に『アメリカ・ジャーナリズム』(丸善、1995年)、『勝負の分かれ目』(KADOKAWA、2002年)、『アルツハイマー征服』(KADOKAWA、2021年)、『2050年のジャーナリスト』(毎日新聞出版、2021年)。元上智大新聞学科非常勤講師。

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