■元祖変わりカツ丼と山縣有朋

精養軒での修業を経て、明治の元帥・山縣有朋のお抱え料理人となった小島種三郎氏。1912(明治45)年に結婚するにあたって独立開業した。自身の名字とはる夫人の名を組み合わせて、店名は「小春軒」。小島氏は日本人の舌に合う西洋風丼をと考えて、醤油・味醂・砂糖にブイヨンとデミグラスソースを加えた独自の割り下を開発。割り下に浸した一口カツを、目玉焼き、割り下で煮込んだタマネギ、ニンジン、ジャガイモ、ピーマンと共に丼飯にのせた。戦後長くメニューから消えていたが、3代目・幹男さんと当代店主の祐二さん父子が95年に復刻。

小春軒特製カツ丼【洋食 小春軒】1300円 ※しじみ汁付き(撮影/写真映像部・高野楓菜)
小春軒特製カツ丼【洋食 小春軒】1300円 ※しじみ汁付き(撮影/写真映像部・高野楓菜)

小春軒特製カツ丼【洋食 小春軒】

1300円 ※しじみ汁付き

住所:東京都中央区日本橋人形町1‐7‐9

(取材・文/本誌・大谷百合絵、菊地武顕、吉川明子)

週刊朝日  2023年3月3日号

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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