とじない特上カツ丼(卵3個)【とんかつ ぱんぱん】2000円(税込み)※味噌汁付き(撮影/写真映像部・高野楓菜)
とじない特上カツ丼(卵3個)【とんかつ ぱんぱん】2000円(税込み)※味噌汁付き(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 受験シーズン真っ盛り。勝負メシの定番といえばカツ丼だが、従来の発想にとらわれない“進化系カツ丼”が続々と登場している。味も見た目も個性豊か。これなら試験期間中、毎日カツを入れても飽きないかも!?

【写真】日本人の舌に合う西洋風丼。元祖変わりカツ丼はこちら

*  *  *

 多くの人がイメージするカツ丼──トンカツを割り下で煮込み卵でとじる──は、約100年前の1921年頃、東京・早稲田にあった蕎麦屋「三朝庵」で生まれた。近くに兵営があった近衛騎兵聯隊が夜に宴会をするたびにトンカツを供していたのだが、予約人数が集まらないことがあった。残ったトンカツがもったいないと、親子丼を真似して卵でとじて翌日に出したのだ。

 これが元祖カツ丼と思いきや、それより早い1913年、やはり早稲田の「ヨーロッパ軒」が、カツをウスターソースにくぐらせた丼飯の提供を始めていた。同店は関東大震災を機に、店主の郷里・福井に移転。もし震災がなかったなら、ウスターソース味こそがベーシックなカツ丼になっていたかもしれない。

 福井ではこの店の影響が強く、カツ丼といえば今もソース。ほかにも、ローカルカツ丼が幅をきかせる地域がある。新潟ではカツを醤油にくぐらせ、群馬の一部ではタルタルソース、名古屋は八丁味噌、岡山はデミグラスソースをかける。沖縄では醤油味のカツの上に野菜炒めがのる!

 全国でいろいろな形で愛されてきたカツ丼。2世紀目に突入するや、発祥の地・東京ではかつてない進化系が続々誕生し、人気を集めている。

■丼の蓋が閉じないほどのド迫力カツ300g!

薄衣に包まれているのは、ヒレ下と呼ばれる部位300g。「この厚さで食べるのが一番うまいから」と、店主の後藤一発さん。居酒屋を経営してきたが、コロナ禍で業態転換した。隠れポイントは、醤油ベースの出汁をうまく染み込ませるパン粉。「ここしかない、と感じた粉屋さんに、僕が毎日30枚1カ月1000枚揚げる動画を見てもらい契約に至りました」

とじない特上カツ丼(卵3個)【とんかつ ぱんぱん】

2000円(税込み。以下同) ※味噌汁付き

住所:東京都江戸川区平井3‐22‐23

著者プロフィールを見る
大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

大谷百合絵の記事一覧はこちら
次のページ