南雲さんは、このミトコンドリアの活性化こそが健康の増進や若さの維持、エネルギッシュな活動に深く関わっていると考えている。ミトコンドリアの活性化には、寒さ刺激のほかに「有酸素運動」や「空腹」も効果的という。そのため、南雲さんは毎日のウォーキングと、1日1食も長年習慣化している。
また、ミトコンドリアは活性化によって細胞内の数が増えるという。数が増えて常に活性化されるようになると、エネルギーの産生力も強化される。それが人を健康たらしめることになる、と南雲さんは力説する。
「私はがんの専門医。がんをいかに予防するかを考え続けてきました。ミトコンドリアを活性化させると脂肪が燃焼してエネルギーの産生力が上がるため、肥満が解消され、免疫細胞の働きもよくなってがんや感染症を防ぐ力が高まります。細胞の生まれ変わりも促すため、若々しい細胞が次々と作られることになります。現在67歳の私が50代と間違われるのも、水シャワーの実践でミトコンドリアを活性化させているおかげです」(同)
それならなぜ、健康のために体を温めるという考え方が主流になってしまったのだろうか?
「私も疑問だったのですが、ポピュリズム(大衆迎合)の一種では? 乾布摩擦や寒中水泳より体を温めるほうが取り組みやすいですし」(同)
どうやって水シャワーで寒さ刺激を与えるのか。南雲さんは真冬でも頭から水をかけているが、寒さ刺激に慣れていない人には抵抗感があるはず。記者も本特集にあたって水シャワーを体験したが、覚悟が決まらず、取材前日の夜に、追い詰められるように挑戦したほどだ。
「健康のために1日1万歩ウォーキングしなさいと言われても歩けないように、水シャワーもいきなりは無理でしょう。ウォーキングならまずは5分というように、水シャワーも手先や足先にかければいい。心臓まひなどが心配であれば、なおさらできるところから始めればいいんです」(同)