松任谷由実さん(左)と林真理子さん(撮影/写真映像部・加藤夏子)
松任谷由実さん(左)と林真理子さん(撮影/写真映像部・加藤夏子)
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 デビュー50周年のいま、「6次ブーム」となっている松任谷由実さん。作家・林真理子さんとの対談では、自身の歌について語ってくれました。

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林:50周年にあわせて、新聞も特集を組んでいろんな評論家が解析してますけど、「ユーミンは現代の世阿弥である」っていうのもありましたよ。

松任谷:日経新聞ね。ブッたまげた(笑)。でも、『花伝書』とかはだいぶ前に読んでいて、「なるほど」ってところは多いね。エンタメに属していて。

林:「いつも死の影が漂ってる」とかいう解析もあった。

松任谷:それは自分でも言ってる。「メメント・モリ」って(ラテン語で「自分がいつか死ぬことを忘れるな」の意)。最近言ってるように書いてあったけれど、けっこう前から言ってるんです。「死があるから生が輝く」とか。

林:「ひこうき雲」は確かに死を歌ってますけどね。いま、いろんな人が芸術家としてのユーミンを一斉に分析し始めてるという感じで、学者さんたちが寄ってたかって「ユーミンとはわれわれにとって何なのか」ということを時代として語る人もいれば、社会的な位置づけとして語る人もいれば、歴史的な視点で見ようとする人もいるし、おもしろいですね。

松任谷:音楽って解析できないものなので、紙面上の文章で解析するにはそのぐらいでちょうどいいんじゃないかな。

林:今回の解析で、これまたブッたまげたんだけど、「ひこうき雲」は最初、雪村いづみさんに歌ってもらおうとしたら、歌唱力がありすぎて、曲と詞がちぐはぐだからやめよう、本人に歌わせようということになって、作曲家志望のユーミンが歌ったら、あの声が詞とぴったり合ってたって。

松任谷:ヘタウマがよかった(笑)。

林:そう書いてあったけど、それは私の口からは言えません(笑)。

松任谷:いまだに歌に自信ないし、そこに軸足を置いてないから続けてこれたと思う。今回、「ギター・マガジン」という雑誌も大特集をしてくれて、それがメッチャうれしかった。

林:ほう。

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