ジャーナリストの田原総一朗氏は、旧統一教会への解散命令の請求を期待する。
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現在、国民の多くが最も関心を持ち、同時に最も怒っているのは、旧統一教会に対する自民党の国会議員たちのズブズブの関わり方である。
先日の自民党による調査でも、180人と半数近くの自民党議員たちが、濃淡はあるが、関わっていたことが判明した。
しかも、その国会議員たちの多くは、それまでの調査で、旧統一教会と関わりがあったことを知らなかった、と述べているのである。
深い関わりがあった萩生田光一氏、山際大志郎氏なども、はっきりと正直には話さなかった。
母親が旧統一教会の信者で、多額の献金をしたために一家が破綻(はたん)し、兄が自殺するなどの苦境に追い込まれた青年が、旧統一教会の広告塔だと判断して安倍晋三元首相を銃撃した。
いかなる理由があっても殺人は許されるものではないが、この事件があって、各マスメディアは旧統一教会がもたらした深刻な悲劇と、自民党議員たちのあきれた関わりを一斉に報じ始めた。
旧統一教会が大問題になって、まず岸田文雄首相が演じた失敗は、安倍氏の国葬を決めたことだ。
これに対して国民の多くは、マスメディアの世論調査で強い不満を示した。憤りの声も少なくなかった。
私は国葬に反対ではなかったが、なぜ国会を開いて与野党で議論しなかったのか。国会を開いていれば、おそらく反対するのは共産党とれいわ新選組くらいだったはずである。国会を開かずに決めたことは大きな不満である。
だが、岸田首相が8月10日に組閣したとき、実は私はかなり期待していたのである。
岸田首相は宏池会のリーダーである。宏池会は池田勇人、宮沢喜一、加藤紘一など、歴代リベラルで清潔なリーダーが続いた。
だから、岸田首相もその伝統を引き継ぎ、組閣は旧統一教会との関係を断ち切った、国民が納得できる形、つまり旧統一教会と関わりのある議員はできる限り排除するだろうと思い込んでいた。