英国訪問のため皇居・御所を出発する天皇、皇后両陛下と見送る愛子さま=9月17日
英国訪問のため皇居・御所を出発する天皇、皇后両陛下と見送る愛子さま=9月17日

 天皇皇后そろっての海外公務は7年ぶりだった。雅子さまにとっては皇太子妃だった2015年7月のトンガ以来の外国訪問。短い日程だったが、天皇ご一家が微笑み、言葉を交わす姿を久しぶりに見ることができた。コラムニスト・矢部万紀子さんが、その感動を綴る。

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 天皇陛下と皇后雅子さまが英国のエリザベス女王の国葬に参列した。出発から帰国まで、4日間。陛下と雅子さまが見えた。愛子さまも見えた。見えただけでなく、聞こえもした。感動した。

 というこの文章、エリザベス女王に由来している。女王の報道官だったディッキー・アービターさんが、女王をしのびこう証言していたのだ。「女王はいつも『信じてもらうためには見てもらわなければならない』と言っていました」

 ダイアナ元妃の事故死後、弔意の表明が遅れた後の挽回策。アービターさんはこう続けた。「(女王は)鮮やかな色の服も着るようになりました。月からでも見えるかもしれませんね」

 一方の陛下と雅子さま、月からも国民からも見えにくくなっていた。理由は新型コロナウイルス。2020年1月、埼玉県所沢市に行って以来、東京都以外の行事はオンライン。行っていないのだ。

 それが2年半ぶりの「東京都以外」の訪問。いきなりのロンドンとなった。天皇が葬儀に参列するのは「異例」だが、皇室と女王との関係が重視されたという。共に英国留学経験のある陛下と雅子さまの思いもあったことだろう。

 陛下が女王の訃報に際し公表した「お気持ち」には、こんな言葉もあった。

<女王陛下から、私の即位後初めての外国訪問として、私と皇后を英国に御招待いただいたことについて、そのお気持ちに皇后とともに心から感謝しております>

 そう、令和2年目の20年1月、両陛下の英国訪問が日英同時に発表された。即位後すぐにアメリカのトランプ大統領夫妻(当時)が来日し、雅子さまは通訳なしで夫妻と語り合った。国民の目が釘付けに。雅子さま×英語=ステキ。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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