ジャーナリストの田原総一朗氏は、自民党の腐敗に落胆する。
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9月19日に毎日新聞が報じた岸田文雄内閣の支持率は何と29%で、8月21日の36%から7ポイント下落した。やはり19日に日経新聞が報じた内閣支持率は43%で、8月調査の57%から14ポイントも下落している。他紙でも大きく下落し、深刻な事態である。
こうした支持率の下落が欧州の先進国や米国で起きれば、当然ながら政権交代である。だが、日本ではそうならない。問題は野党が弱すぎることだ。
それに、立憲民主党や国民民主党の幹部たちから感じ取れるのは、政権奪取の意欲が極めて薄いことだ。野党の議員たちは、自民党の批判をしていれば選挙で当選できるうえ、共産党を除いて、どの野党も政党助成金を受けているので、どの議員も生活が安定している。
だから、ホンネを言えば、現在の状態が一番望ましく、政権など奪取したら大変なことになる、と考えているのである。
そうした意欲の薄さがあるからこそ、たとえば安倍晋三内閣が森友・加計疑惑、桜を見る会などのスキャンダルを連発させても、選挙で自民党が勝っているのである。
だが、実は野党は昔から弱かった。自民党の首相が交代するのは決まって派閥の力学からであった。かつては自民党の各派閥がしっかりしていて、首相に問題があると派閥の力によって辞めさせられた。
たとえば岸信介首相は、1960年に日米安保条約を改定し、このこと自体は自民党の議員たちの多くが望んでいた。だが、岸首相はその後に憲法改正に強い意欲を示していたのである。
一体何のための憲法改正なのか。
岸首相は、憲法で縛られた対米従属で戦争ができない日本を、自立して戦争ができる日本に変えたいと思っている、と自民党の多くの議員たちは捉えていた。
岸首相は、太平洋戦争を始めた東条英機内閣時の大臣で、戦後、米軍から戦犯にされていた、などの履歴の持ち主であったためだ。