高橋克実(たかはし・かつみ)/ 1961年生まれ。新潟県出身。小劇場で活躍し、ドラマ「ショムニ」シリーズで人気を獲得。その後バラエティー番組「トリビアの泉~素晴らしきムダ知識~」、報道番組「直撃LIVE グッディ!」などのMCとしても活躍。舞台、映画、テレビなどに出演多数。10月スタートのドラマ「帰らないおじさん」(BS-TBS)に出演。10月18日から新橋演舞場で上演の舞台「女の一生」にも出演する。(撮影/写真映像部・高野楓菜)
高橋克実(たかはし・かつみ)/ 1961年生まれ。新潟県出身。小劇場で活躍し、ドラマ「ショムニ」シリーズで人気を獲得。その後バラエティー番組「トリビアの泉~素晴らしきムダ知識~」、報道番組「直撃LIVE グッディ!」などのMCとしても活躍。舞台、映画、テレビなどに出演多数。10月スタートのドラマ「帰らないおじさん」(BS-TBS)に出演。10月18日から新橋演舞場で上演の舞台「女の一生」にも出演する。(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 俳優・高橋克実さんの61歳にして初の主演映画が、この秋公開される。地方都市で「夢」と「現実」に思いを馳せる父子。夢を諦めた大人は負け犬なのか? そんな青臭いテーマが幅広い世代の心に刺さる。

【写真】高橋克実さんの初主演映画「向田理髪店」の場面カットはこちら

 この秋、名バイプレーヤーの印象の強い克実さんの初主演映画「向田理髪店」が、ついに公開になる。かつて夢を追いかけたことがある父親が地元で営む理髪店に、夢を諦めた息子が帰ってくるところから、物語は始まる。原作は奥田英朗さん。監督は、克実さんと共に熱い青春を過ごした森岡利行さんだ。

「僕が演じた父親は、かつては夢を追いかけ、夢破れて地元に戻ってきた。東京から帰ってきた息子も『家業を継ぐ』って宣言して、町おこしを始めるんです。でも息子は、地元が映画のロケ地として誘致されて、映画制作のお手伝いをする中で、また自分の夢を取り戻していく。試写を観たとき、自分の立ち位置も、息子の立ち位置も、どっちにも気持ちがいって、今の自分と、若いときの自分と両方に共感できた。僕も父親に、こういうふうな口のききかたしたなとか、いろんなことを思い出しました」

 映画の中で、克実さんは、テレビで観ていた人たちが来て、興奮する役を演じていた。

「自分が地元に帰っていたら、きっとこんな感じなんだろうなと思いました。出演者やスタッフは、2週間なり1カ月なり宿に泊まって、地元の食材を使った料理なんかに舌鼓を打って、いいロケ場所を教えてもらったりできる。地元の人たちは、映画づくりに参加できて、自分たちや地元の風景がスクリーンに映ることで、いい思い出になる。今回は、コロナもあったので、自分たちは、あまり地元のお店に貢献したりはできなかった気がしますが、大牟田(福岡県)の皆さんには120%ぐらいの協力態勢でやっていただきました。本当に感謝しかないです。この映画を撮って、映画が、もっとサッカーのJリーグみたいに、地元の誘致でガンガン盛り上がっていったらいいのにな、なんて思いました」

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