西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「『まあ、いいや』という選択」。

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【人生】ポイント

(1)いろいろなことを「まあ、いいや」で決めてきた

(2)「まあ、いいや」と赴任した都立駒込病院がよかった

(3)「まあ、いいや」の先には、面白い未来が開けている

 86年の人生を振り返ってみて、いろいろなことを「まあ、いいや」で決めてきたように思います。その結果として、今の自分があります。

 まず最初は高校進学。うちの両親は家業が忙しく、教育熱心というわけではありませんでした。ところがご近所の奥さんの勧誘に付き合って、塾に通うことに。そこで受けた模擬試験が500人中23番という好成績だったのです。地元の埼玉県の高校に行くつもりだったのに、「都立高校へ行った方がいい」と塾の先生に強く勧められ、「まあ、それでもいいや」と小石川高校に越境入学することにしました。でも、これは大正解でした。小石川高校はとても素晴らしい学校でした。

 東大受験したのも、周りの友達がみんなそうしたからです。家に往診に来る医者を見て、なんとなく自分も医者になりたいと思っていたので、理科2類を受けて合格しました。ところが、当時、医学部に行くには、2年後にもう一度、医学部進学試験を受ける必要がありました。それには落ちてしまったのです。

 そんなに強く医者になりたかったわけではないので、定員に空きがあった教育学部の教育心理学科に進みました。でも、実習で子どもたちと接してみて、これは自分にはとても向いていないと思いました。

 もう一度、医学部進学試験を受けて、今度は合格、医学部では外科を選びました。医学部では医局長も務めましたが、大学に残る気はなかったです。研究や教育に自分は向いていないと思ったからです。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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