原作は、「半沢直樹」「陸王」など多くのベストセラーを生んできた、人気作家・池井戸潤。タッグを組むのは長編映画デビュー作「ソラニン」以降、恋愛映画の巨匠との呼び声も高い三木孝浩監督。竹内涼真と横浜流星がダブル主演を務める映画「アキラとあきら」が、26日に封切られる。
* * *
──初のタッグということですが、制作が決まったときはどんな感想を持ちましたか?
三木孝浩(以下、三木):オファーがあったときは、正直ちょっとビックリしたところもあったんです(笑)。でも池井戸作品の“ユニバース”に参加させてもらえるワクワク感のほうが、それを大きく上回ってしまって。池井戸さんは僕のクレジットを見て、不安を感じられたりしませんでしたか?
池井戸潤(以下、池井戸):いやいや、青春恋愛映画が得意と伺っていたので、むしろそこがいいなと思いました。僕の映像化作品は「半沢直樹」のような演技合戦をイメージする人が多いですが、小説には、人間関係の機微も描いているつもりなんです。そういった心の動きを描くのに、三木監督はとても合っていると感じました。
三木:この作品は若い2人のあきらの成長もテーマになっていて、そこに青春映画にも似た空気を感じた。これなら僕も、今までの経験を生かしてドラマができるんじゃないかと思いました。
池井戸:僕は絵を見て、主人公2人の撮り方がすごくいいと思いました。例えば、横浜流星さん演じる階堂彬。頭はいいけど皮肉っぽくて、思っていることとやっていることがバラバラ。でも、そういうキャラクターが、映画のなかでは魅力となって光っている。それぞれの役の魅力を引き出す撮影テクが、とにかく素晴らしかった。
三木:竹内涼真さんが演じる山崎瑛のまっすぐさと、横浜流星さんが演じる階堂彬の繊細さの対比が、とっても興味があったところ。横浜さん演じる階堂彬は大企業の御曹司で、そもそもスーツも着慣れているでしょうし、ちょっとした動きひとつで、品の良さみたいなものが出るはずと考えました。立ったり座ったりするときのスーツのボタンの開け閉め、みたいな所作からこだわった。イメージとしては、ロバート・ダウニー・ジュニアが着こなすようなスーツ。仕立てのよさがにじみ出るような、ああいう空気感を横浜さんにも意識してもらいました。