※写真はイメージです
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 今年もヤツの季節がやってきた。おなかの卵を育てるため、血を求めて飛び回る。部屋に1匹いるだけでイライラは募るもの。家の中だけでも安全地帯にして、かゆーいストレスから逃れたい。専門家の英知を結集して、対策をまとめました。

【図表】蚊にまつわる噂を検証した、専門家の見解はこちら

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 ぷーん。自室で原稿を書いていた記者の目の前を一匹の蚊が悠々と横切った。部屋はマンションの10階。一体どこから入り込んだ?

「人間の後についてエレベーターに乗ったり、ビル風に乗って20階くらいまで吹き上がってきたりするんです」

 そう解説してくれたのは、殺虫剤「バルサン」を製造販売するレックの技術顧問・津田良夫さん。人についてくるのは仕方ないとして、ちゃんと網戸は閉じているんですけど……。

「網戸に引っかかっても、表面を歩いて抜け穴を探します。5ミリ程度の破れ目や隙間があれば連中は入ってくる。地下の排水設備などで生まれた蚊が、排水管や通気口を通って侵入することもあります」

 やはり蚊を絶対に家に入れないのは難しそう。せめて部屋にいる蚊は確実に迎撃したいが、ふらふらと飛ぶ姿を目で追っていると、ふっと消えることがある。これは蚊の飛び方が不規則で、急に予測不能な方向に動くからだという。見失ったらどこを探せばいいのか。

「昼行性のヤブカ類は壁などどこにでも止まりますが、夜行性のイエカ類は暗がりを好みます。テーブルの下や家具の裏などを探すか、部屋の照明を暗くして刺しに来たところをたたくのがよいでしょう」(津田さん)

 たたくときのポイントは、止まっているか、止まろうとしている蚊を狙うこと。飛んでいる蚊は周囲を警戒しているので素手で仕留めるのが難しい。津田さんは自宅に捕虫網を置いているそうだ。

 ただ、手に頼らずとも撃退できる方法はある。手軽さから人気を集めているのが、ワンプッシュ式の蚊取り剤だ。

 フマキラーの開発研究部員、中原良成さんは「ボタンを1回押すだけで霧状の薬剤が部屋中に広がり、速効性があります。床や壁についた薬剤は再浮遊するので、後から入ってきた蚊にも効く。当社製品の場合、4.5~8畳の部屋にワンプッシュすると、効果が24時間続きます」と話す。

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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