(C)2021-GETAWAY FILMS-LA CLASSE AMERICAINE-SK GLOBAL ENTERTAINMENT-FRANCE 2 CINEMA- GAGA CORPORATION
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 アカデミー監督賞、作品賞など5部門で受賞し世界的大ヒットとなった映画「アーチスト」(2012年)で知られるフランスのミシェル・アザナヴィシウス監督。モノクロ映像やパロディーなど趣向を凝らしたオリジナル作品を次々に生み出してきた。新作は日本で17年、口コミが広がり異例の大ヒットとなった上田慎一郎監督の「カメラを止めるな!」のリメイク。舞台をフランスに移しつつ、オリジナルの要素を忠実に反映した内容。本年度カンヌ映画祭のオープニング作品として上映され話題を呼んだ。日本でも大ヒット上映中の本作について、監督に話をきいた。

【写真】ミシェル・アザナヴィシウス監督はこちら

――オリジナルを見て気に入り、製作をすることになったそうですが、日本映画はよくご覧になるのですか?

「日本映画オタクというほどではないが、たまたま「カメラを止めるな!」を見に行く機会があったんだ。リメイクしても、自分なりの映画が作れる可能性があるな、と感じた。面白い要素満載で構成が特に良いと思った。まず1部を見て「駄作だな」と評価する。批判的になるんだ。ところが3部をみると、自分のその判断が早合点で間違っていたと後悔する。いかにこの映画を作るのが大変だったか、その苦労を理解できる。その体験がとてもいいんだよ。制作スタッフやキャストを思いやる心が湧いてくると言うのかな」

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――リメイクする上での問題点などは?

「日仏文化の違いは僕にとっては問題ではなかった。それよりも、映画中の監督とスタッフの関係が興味深かった。オリジナル版では、監督は問題が生じた時、自分の視点を守ろうとする。僕だったらまずスタッフに相談する。対照的だよ。あと、日本人は意見が控えめだ。そのあたりも工夫しながらシーンを加え、楽しく作れた。フランス版ではキャラクターが日本のヒット作を再現しようと頭をひねるあたりが見どころだよ」

――オリジナルキャストでプロデューサー役の竹原芳子さんも出演していますね。

「個性的で不思議な俳優さんだ。エネルギーにあふれている。出演してもらったのはオリジナルへのオマージュを込めたかったから。共作できて、カンヌ映画祭にも来てもらえたのもうれしかった」

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自身と本作に登場する監督と似ているところは?