飲食店もにぎわっている。東京・新橋の繁華街では休業する店はほとんどみられず、客引きの姿も目立つ。居酒屋では、会話のときにこまめにマスクを着用する客はほとんどみられなかった。ある居酒屋店員が話す。

「お客さんは以前の8割くらい戻ってきています。お客さんのマスクチェックなどは『もういいか』という空気があり、パーティションも邪魔だという声を受けて取り外しました。今さら自粛なんてあり得ないです」

 かたちを変えつつあるコロナ禍。第7波はいつまで続くのか。そして私たちはどんな行動をとっていけばよいのか。神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授はこう語る。

「『BA.5』は確かに感染力が強いですが、現在の大流行はウイルスの属性だけが要因ではなく、人の動きが活発になってきたこと、3回目のワクチン接種の効果が弱まってきたこと、小学生などの未接種が多いことで学校内での感染が拡大し、それが各家庭に広がったことなど、いくつかの要因が重なった結果でしょう。今、人々の間には『オミクロン株はそんなに怖くない』『無理に流行を抑えなくていい』という気持ちが広まっている。こうなると、なかなか流行は収まらないと思われます」

 一方で、感染拡大はあくまで季節性のものだという見方もある。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長はこう指摘する。

「昨年も一昨年も、多くの国で6月半ば以降から感染が拡大して、8月にはピークアウトしている。今年も夏の流行が来たということで、人流などはほとんど関係ないのではないか。オミクロン株は致死率も低い。インフルエンザの流行を『第何波』と言わないように、毎年起きることという認識にしていくべきです」

■3回目効果薄れ 重症者数増加も

 先行き不透明な中、今回取材した専門家の間で見解が一致したのは、ワクチンの重要性だ。国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授がこう話す。

「オミクロン株が出てきてからは、残念ながらワクチンの感染予防効果はあまり期待できません。ただ、重症化予防という点では依然として有効ですし、症状の軽減や後遺症のリスクを下げることもできます。現在の流行が秋まで続くと、3回目を接種した人の効果も薄まってきて、重症者数が増加する可能性もある。4回目の接種対象になっている高齢者の方や基礎疾患のある方は打っておいたほうがいいでしょう」

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