政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長

 そろそろ収束か……春先のそんな期待は、「第7波」の爆発的拡大によりあっという間に打ち砕かれた。全国の感染者数が過去最多となる中、私たちはどう備えればよいのか。そしてこの先、コロナ禍とどう向き合っていけばよいのか。

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 新型コロナウイルス「第7波」の感染拡大が止まらない。7月23日、新規感染者数は全国で過去最多となる20万人超を記録。東京都では23日まで3日連続で3万人を超える新規感染が判明した。感染力の高いオミクロン株の亜種である「BA.5」が猛威を振るっているものと思われる。ナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師はこう語る。

「コロナの疑いで外来を訪れる人の数が、7月に入ってから急激に増えました。症状は発熱や咳、咽頭痛が多く、コロナ禍初期の特徴だった味覚や嗅覚の障害を訴える人はあまりいない。季節的に熱中症や夏風邪などの可能性もあり、症状だけで区別することはできません。また、これまで『BA.2』など他のオミクロン株に感染した人でも、再感染のリスクはあります。重症化する可能性は少ないものの、全体の患者数が増えたため臨床現場の状況は厳しく、感染がさらに拡大すれば、医療逼迫(ひっぱく)は避けられません」

 猛烈な速さで襲来する、かつてないほど大きな「波」。脅威である一方、現在までのところ重症化する患者はこれまでより少ないという特徴が見てとれる。昨年9月にピークを迎えた「第5波」では全国の重症者数は過去最多の2千人を超え、今年2月にピークを迎えた「第6波」でも一時1500人超の重症者が出たが、7月21日時点での重症者数は191人。じわじわ増えてきているものの、爆発的に増加する感染者数と比べると少なさが際立つ。

 このためか、人々の反応も以前までと違うようだ。小中学校が夏休みとなり、観光スポットやレジャー施設などには多くの人々が訪れている。

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