※写真はイメージです (GettyImages)
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 頭痛や肩こりが一向に良くならないといったことはないだろうか。もしかするとそれは「眼瞼下垂」が原因かもしれない。まぶたの筋肉が衰えることで、物が見えづらくなるだけでなく、心身に不調をきたすこともあるのだ。

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 都内在住の藤原さん(20代女性)は、1年半前に営業職から医療事務に転職してから、ひどい首の痛みに悩まされるようになった。

「デスクワークでパソコンを見る時間が増えたせいかもしれませんが、首がつったような状態が長く続いて、ひどい痛みで立ち上がれないこともありました」

 治療のため2カ月ほど整骨院に通い、鍼(はり)治療も受けた。しかし症状は全く改善しない。何が原因なのか、ネットやSNSで調べるうちに「眼瞼下垂」という病気があることを知った。

 眼瞼下垂は、まぶたを上げる筋肉が弱まり、うまく目を開けられなくなる病気だ。物が見えづらくなるだけでなく、頭痛や肩こりなど、様々な不調の原因にもなる。

「実は同じ時期に、テレビの画面が見づらくなったり、アイラインがうまく引けなくなったりしたんです。それで『もしかして』と思い、病院に行ったら眼瞼下垂と診断されました」

 藤原さんは、診断を受けてから1カ月後に両目を手術。手術自体は1~2時間ほどで終わり、入院の必要はなかった。症状は軽度ではあったが保険が適用され、自己負担額は4万5千円ほどで済んだそうだ。

「手術後は、1週間ほどで腫れも引いて職場に復帰できました。以前は目がかすんで、眼鏡なしではテレビが見られなかったのですが、術後は視界がクリアになり、首の痛みも和らいでほっとしました」

 藤原さんのように、気づかないうちに眼瞼下垂になっていて、体に変調をきたすケースは少なくない。

 埼玉県で、まぶたや涙道の専門治療を行うかつむらアイプラストクリニック院長の勝村宇博医師は、「眼瞼下垂は、加齢とともに進行しやすい」と話す。

「通常、まぶたは『挙筋腱膜』と『ミュラー筋』という二つの筋肉を使って上に引っ張ることで開閉していますが、年をとるとその筋肉が薄くなったり、脂肪に置き換わったりして、少しずつまぶたが開きづらくなっていきます。加齢により顔の印象も変わるため自覚しづらいのですが、年を1歳重ねるごとに眼瞼下垂になる確率は5%上がっていき、70歳以上の方の約3分の1が眼瞼下垂になっているという医学的データもあります」

 一方で、藤原さんのように若くても、生活習慣などが原因で発病することもある。

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