写真はイメージ(Getty Images)
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「添加物不使用」などとアピールする食品はスーパーでもよく見かける。食の安全に注目が集まるなか、ペットが口にするものにも気を配ろうとする動きが。ペットフード製造の実態をもとに、どうすればより安全な製品を選べるのかを考える。

【注意すべきペットフードの添加物の一例はこちら】

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 近年、犬やのごはんの高級化が進んでいる。一般社団法人ペットフード協会の「2019年度ペットフード産業実態調査」を見ると、15年以降、出荷量は横ばいにもかかわらず市場規模は拡大し続け、5年で540億円もの成長を遂げている。

「ペットは家族の一員」という考え方が当たり前になった今、安心安全で良質なペットフードの需要が増えるのも納得だ。では、大事な家族の健康を守るには、どんなことに気をつけて製品を選べばよいのだろうか。

 食の安全を考えるとき、多くの人が気にするのは添加物の問題だ。食品問題評論家の垣田達哉氏はこう話す。

「現代では一般的に、ある物質が人間の体に害があるかを調べるためにはまず動物実験が行われます。動物によくないものは人間にもよくない。その逆も然りです。動物のほうが寿命が短く体も小さいので、人間よりも有害物質の影響を受けやすいとも考えられます」

 人間の食品において安全性が疑問視されている添加物が、ペットフードにも使われているケースはままある。リスクがあるならば、とらないにこしたことはない。

 タール系着色料は、赤色2号など「○色○号」の名前がついた合成着色料のこと。犬や猫は色覚が発達していないため、色をつけても食いつきには関係ないが、見栄えをよくすることで飼い主の購買意欲を刺激しようと考えるメーカーは積極的に添加する。

 酸化防止剤であるBHA、BHT、エトキシキンは、ペットフードの場合は家畜用飼料と同じく1グラムあたり合計150マイクログラム(犬用はエトキシキン75マイクログラム)までの添加が認められている。しかし有識者からは、数カ月もしくは数年の命の家畜と、10~20年ほど生きるペットで摂取量の基準が同じことを不安視する声も上がっている。

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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