写真はイメージ(Getty Images)
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 同社の佐藤淳社長が、一般的なペットフードに使われている材料について教えてくれた。

「生肉と表記していない製品は、肉や骨、内臓、血液、皮などを混ぜて粉状にしたものを使っていることも多い。巷では『病気で死んだ家畜の肉も混ざっていて危ない』という噂もありますが、さすがに日本では使っていないと思います。問題が起きたときのことを考えると、リスクを背負ってまで使う業者はいないでしょう。それより、動物原料を粉末にする過程で高温での加熱・乾燥が行われ、酸化防止剤を入れないと品質を保てなくなることのほうが問題です」

 酸化の問題は、材料をペットフードに加工する段階でも発生する。

「ドライフードの場合、私たちは90度前後の低温で長い時間をかけて加熱しますが、200度近い高温で一気に加工するような製品はやはり酸化しやすい。風味も失われるため、表面に油脂を吹きつける“オイルコーティング”でペットの食いつきをよくしているが、その油脂自体も酸化の原因になる」(佐藤社長)

 酸化した油は、ペットの消化器に負担をかける。佐藤社長は自ら、製品改良のために他社のペットフードを口にして匂いや味を確かめているが、酸化が進んだ製品は「オエッとなる独特の臭い」がするそうだ。

 ここまで、ペットフードに関する様々な危険性を挙げたが、どうすればより安全な製品を見極めることができるのか。佐藤社長によると、ポイントは二つあるという。

「原材料の産地など、細かく情報開示されている商品は信頼できるでしょう。また、値段もわかりやすい判断材料。私たちの製品は1カ月分で4480円(税別)ですが、他社だと600円ほどのものも。高ければいいというわけではないが、3千円台後半以上のものであれば、大抵はこだわって作られたものだと思います。ペットフードはワンちゃんやネコちゃんの食べ物といえど、食事。『自分も食べられるかな?』という視点できちんと調べて、選んでほしい」

 出されたものを食べるしかないペットたち。愛犬・愛の健康を守れるのは、飼い主しかいない。(本誌・大谷百合絵)

週刊朝日  2022年5月20日号

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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