広瀬すずさん(右)と林真理子さん [撮影/張溢文、ヘアメイク/奥平正芳、スタイリング/丸山晃]
広瀬すずさん(右)と林真理子さん [撮影/張溢文、ヘアメイク/奥平正芳、スタイリング/丸山晃]

広瀬:つらい役ですよね、亮君。事実と、本人たちしか知らない真実との温度差というか、はたから見ると少女誘拐の加害者と被害者なんだけど、二人だけのこの特別な関係って、第三者にはなかなか理解してもらえませんよね。

林:何も知らずに文とつき合っている谷さん(多部未華子)も、最後、文と更紗の壁にぶち当たって去っていくわけですが、更紗と文の世界があまりにも強固で美しすぎて、周りの人を不幸にしているという感じがしますよね。

広瀬:二人は、周りの人たちに自分たちの感情を理解してほしいという気持ちはもちろんあるけど、無理やりそれを求めてはいないですよね。婚約者にも伝わらないものは伝わらないし、そのやり場のない感情というか、それは結局、二人にしかわからないんだと思います。

林:あの二人、魂の双子という感じで、この二人を引き離すことはできないだろうなと思いました。松坂桃李さんとは、最初からバッチリ息が合ったんですか。

広瀬:桃李さんと一緒のシーンは途中からだったんですけど、感性も受け入れ方も、すごく柔軟なんですよね。脳内がすごく柔軟で、何しても受け止めてくれるし、すんなりフィットさせてくれるので、「ホンモノの文だ!」と思いました。

林:私も本から文が出てきたみたいでびっくりしちゃいました。暗~い不思議な感じがよく出ていて。

広瀬:コワいです。何者かよくわからなくて(笑)。

林:広瀬さんの目が素晴らしかったです。亮君のDVで倒れたとき指のあいだから目が見えるんだけど、あの目がすごくいろんなことを語っていて、「海街diary」(2015年)ですごくかわいい高校生のすずちゃんを見てた者からすると、「えっ、こんなにすごい女優さんになっちゃって」と思ってびっくりしましたよ。

広瀬:ありがとうございます。

林:そして更紗の子ども時代を演じた子(白鳥玉季)が、顔、広瀬さんにそっくりで、私、最初、広瀬さんがやってるのかと思った。

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