終わらないコロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあり、物価は上がる一方。止まらない円安がそれに拍車をかける。日本経済は、この先さらなる難局に突入することが予測される。

「コロナによる死者数が比較的少ない日本のほうが、欧米より経済の立ち直りが遅れている。これは政策の失敗だと思う。そこにきてロシアへの経済制裁の影響も大きい。物価が猛烈に上がっていくなかで、成長力のない日本は塗炭の苦しみを味わうことになる」(磯山氏)

 日本に活路はあるのか。前出の中原氏は成長戦略が大事だという。

「産業や大企業だけではなく、国民一人ひとりが成長できる戦略が必要です。特に大企業と比べ生産性が低い中小企業にてこ入れすべき。海外でも稼げるよう支援したり、社員のスキルを高める制度を後押ししたりすることが必要でしょう」

 成長戦略もなおざり、別の路線を目指すかに見えた「新しい資本主義」も中身なしとあっては、日本の未来は暗い。岸田首相は今こそ、耳に入れたくないような厳しい指摘にも「聞く力」を発揮してほしい。(本誌・鈴木裕也)

週刊朝日  2022年4月22日号