※イラストはイメージです
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 冬に悩まされるのは、冷え性だけではない。気温の低下や空気の乾燥により、肌荒れが起こりやすくなる。特にシニアは、肌が乾燥することで「かゆみ」に悩まされることも多い。かゆみの原因と対処法を専門医に取材した。

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冬の乾燥した時期になると、腕や足、腰回りがかゆくなることはないだろうか。

 実は筆者も、そんな「乾燥による肌のかゆみ」に悩まされる一人だ。特に症状が出やすいのが、わき腹とすねの部分。冬に寝るとき、以前はスウェットの下に保温インナーをはき、さらに足元を電気毛布で温めていたが、しばらくすると両足のすねがかゆくなり、たびたび起きてしまうようになった。インナーの素材が肌に合わなかったこと、電気毛布の熱で肌が乾燥したことが原因と考えられ、それらを取り換えると症状は改善したが、ひどいときはすねの皮膚が鱗のようにガサガサになってしまい、かなりつらかった記憶がある。

 こうした乾燥による肌のかゆみは、高齢になるほど症状が出やすいようだ。

 有料老人ホームで介護福祉士をしていた30代女性は、「冬になると、肌のかゆみを訴える利用者が少なくなかった」と話す。

「夜寝ている間に、無意識に体をかいてしまうんでしょうね。ベッドに剥がれ落ちた表皮が粉をまいたように落ちていることもありました。手の甲やすねをかきむしって出血してしまう方もいて痛々しかったです」

◆60歳超えると肌の乾燥が進む

 横浜市にある野村皮膚科医院院長の野村有子医師は、「空気の乾燥だけではなく、加齢とともに肌の水分が失われてかゆみが出ることも多い」と話す。

「『老人性乾皮症』といって、肌がカサカサに乾燥して鱗状になったり、粉が吹いたりします。軽度の段階ではむずがゆいくらいですが、重度になると肌が炎症を起こしてただれたり、ジュクジュクとした湿疹になってしまうこともありますね。そうなると市販薬では手に負えず、病院で適切な治療を受ける必要があります」

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