※イラストはイメージです
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 そもそも肌が乾燥すると、なぜかゆみを生じるのだろうか。

「通常、皮膚には、アミノ酸などの天然保湿因子や、セラミドといった脂質があります。さらに汗と皮脂が混じり合ってできた皮脂膜で、皮膚が覆われています。これらが肌のバリアーとなって、体内から水分が蒸発するのを防いだり、外部からの刺激が神経を刺激しないように守っているのです。ところが、汗や皮脂の分泌、アミノ酸やセラミドの生産量は、加齢とともに減っていきます。すると、肌が乾燥してバリアー機能が弱くなり、外からの刺激に対して神経が過敏に反応するようになってしまうのです」

 男女ともに60歳を超えると、バリアー機能の衰えが進み、かゆみが出やすくなる。また、乾燥性のかゆみには季節も大いに関係があるという。

「特に今のような冬場は要注意です。皮膚が乾燥しない湿度は50~60%と言われていて、40%を下回ると、乾燥してかゆみが出やすくなります。また、寒さで血流が悪くなり、新陳代謝が下がることでも肌の乾燥は進みます」

 症状が出る部位は、すねが圧倒的に多い。また、腕や腰回り、背中など、皮脂の分泌腺が少ない部分はかゆみが出やすいそうだ。塗り薬やかゆみ止めの飲み薬もあるが、治療の基本は、生活の中から「肌を乾燥させる要因」を取り除いていくことになる。

「まず見直したいのが入浴方法です。特に高齢男性は、肌が赤くなるまでガシガシと体を擦って洗う方が多いのですが、これだと皮脂が落ちてしまう。ナイロンタオルやたわしは使わず、素手か柔らかいガーゼで撫でるように洗ってください。ボディーソープも『低刺激性』のものを選ぶとよいでしょう」

 石鹸の泡を洗い流すときも、シャワーを勢いよく当て続けると水圧で皮脂が流れ落ちてしまう。肌が乾燥しているときは、弱めの水圧でさっと流すか、掛け湯をするとよいそうだ。

「湯船に入るのは、肌の水分が保たれやすくなるのでお勧めです。お湯の温度は40度前後が理想的。42度を超えると、肌のかゆみセンサーがオンになると言われているため、熱すぎるお湯は逆効果となります。一時的にかゆみが止まるかもしれませんが、皮脂も落ちてしまいますし、体が火照って余計にかゆくなってしまいます」

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