ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、のハナちゃんです。

【写真】こんな姿見たことない! 枯れ葉をやさしく抱えて立ち上がる猫

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 去年の夏。早朝5時に、寝ていた私をニャーとミケが起こしにきた。ミケはもともと私の家の敷地内で暮らしていた野良猫で、2週間前に子猫4匹とともに保護したばかり。ゆえに、全く人になついていない。

 そんなミケが私を呼びにきたとなると、何かの事件だ!

 事件現場はベランダだった。子猫の鳴き声が聞こえる。私が窓を閉め忘れていたようで、子猫2匹が2階から落ちたのだ。一匹は木に引っ掛かり、私がカゴで救出できた。もう一匹は屋根にぶら下がっていたが、滑り落ち、走って逃げていった。

 その子猫には、ハナちゃんという名前を付けていた(写真、雄、8カ月)。保護した時、猫風邪で鼻がグズグズだったから「ハナちゃん」だ。ハナちゃんは警戒心が強く、人間嫌い。外で羽を伸ばしてもう戻ってこないのではないかと半ば諦め、ひとまず他の猫たちに朝ごはんを食べさせた。

 しばらくすると消え入りそうに小さなニャンニャンという声が聞こえてきた。塀の上でハナちゃんが鳴いている。しかし呼んでも、エサをチラつかせても、すぐにタタタッと逃げてしまう。午前中ずっとニャンニャンが聞こえていた。

 午後は静かだったが、夕方になるとまたニャンニャンが始まった。家の敷地からは一歩も出ていないようだ。

 しかし捕まえあぐね、気づけば22時。そろそろ何か手を打たねば……。そこで、試しに昼間録音しておいた母猫ミケの鳴き声を玄関口で流した。

 ニャニャーン!! ママが捜しにきたと思ったのか、急に大きな声で鳴きだしたハナちゃんは、家の中に猛烈な勢いで駆け込んできた。

 めでたし、めでたし。(東京都北区/43歳/編集者)

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週刊朝日  2022年1月21日号