左から、今井眞一郎氏、出井伸之氏(撮影/写真部・高野楓菜)/取材協力・ストリングスホテル東京インターコンチネンタル/The Strings by InterContinental Tokyo
左から、今井眞一郎氏、出井伸之氏(撮影/写真部・高野楓菜)/取材協力・ストリングスホテル東京インターコンチネンタル/The Strings by InterContinental Tokyo

 モノづくりのソニーをデジタル時代の最先端企業に進化させたことで知られる元ソニー社長の出井伸之氏。84歳になった今も、新しいビジネスや若手の育成を助けるために立ち上げた会社「クオンタムリープ」の会長として、現役ビジネスマンを貫いている。「抗老化研究」の世界的権威の一人、ワシントン大学医学部教授の今井眞一郎氏(57)と、実現が近いと言われる「人生120年時代」をテーマに語り合った。

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今井眞一郎氏(以下、今井):出井さんは、私の研究がきっかけで効果が明らかになりつつある抗老化物質「NMN」(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)を、すでに飲んでいらっしゃるとうかがいました。どういう経緯でNMNに興味を持つようになったのですか?

出井伸之氏(以下、出井):僕が80歳を超えても現役でいるものですから、抗老化の研究をする会社が、みんな僕に興味を持つようなのです。何社かがアプローチしてきて、僕も抗老化というものに興味を持つようになった。今はそのうちの一社のNMNを飲んでいます。そのせいでしょうかね、僕は元気なんですよ。好奇心が衰えないというかね。

今井:先日もNMNを飲んでいる芸術家の方から同じ感想を聞きました。要するに想像力が落ちない、持続するというようなことをおっしゃっていたんですよね。私も含めた科学者による研究で、ほかにも糖尿病の症状改善など、NMNにはさまざまな効果があることがわかってきています。人に対する抗老化作用があると断言するのは時期尚早ですが、これからかなりのスピードで、色々なことがわかるようになる。遠くない未来には、100歳を超えても働ける時代が来ると考えています。

出井:楽しみですね。今の病院病気になってから行くのが当たり前ですが、私はそもそもあれが問題だと思っている。私は東京医科歯科大学の学長特別顧問を務めていましたが、高齢者が病気になる前に体の状態を診てもらえる医療機関が必要だと提言しました。

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