岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office

 動物写真家・岩合光昭さんが見つけた“いい(こ)”を紹介する「今週の猫」。今回は、京都府の小倉山の「ビバ、ニャパン!」です。

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撮影/岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
撮影/岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office

 紅葉の名所、常寂光寺で暮らすクロベエ。住職のご主人がお勤めをする間、境内を案内してくれた。しっぽを立てご機嫌な様子で、時折「ついてきてる?」と言わんばかりに振り返り、とっておきの場所にやってきた。

 青々とした竹林に苔むした抹茶色の大地。奥に広がる紅葉が一枚の絵を紡ぐ。その中をゆっくりと歩く漆黒の猫……。

 コスモポリタンなはずの僕の口から、思わず「日本に生まれてよかった」という言葉が漏れた。母国の美しさと京都の魅力を教えてくれた猫だった。

デジタル岩合
http://www.digitaliwago.com/

週刊朝日  2021年12月3日号

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岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

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