セスジキノボリカンガルー
頑丈な前肢の爪で枝を握ったり、長い尾を使って木の上でバランスを取ったりと樹上生活に適応したカンガルー。桜の葉をかじりご満悦な様子。 (c)Mitsuaki Iwago
セスジキノボリカンガルー
頑丈な前肢の爪で枝を握ったり、長い尾を使って木の上でバランスを取ったりと樹上生活に適応したカンガルー。桜の葉をかじりご満悦な様子。 (c)Mitsuaki Iwago

 サバンナから街なかまで、世界を股にかけて動物たちの生き生きとした姿をカメラにおさめる岩合光昭さん。今回の撮影の舞台は動物園! 愛くるしく、時には迫力満点な生きものたちの素顔に、大人も思わず胸を高鳴らせる魔法の場所だ──。

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ホッキョクグマ
陸上最大の肉食動物で、絶滅危惧種でもある。ぺたっと床に腹ばいになるポーズは、岩合さん曰く「心地よくて楽な寝方」とのこと。 (c)Mitsuaki Iwago
ホッキョクグマ
陸上最大の肉食動物で、絶滅危惧種でもある。ぺたっと床に腹ばいになるポーズは、岩合さん曰く「心地よくて楽な寝方」とのこと。 (c)Mitsuaki Iwago

 本誌でもおなじみの動物写真家、岩合光昭さんにとって動物園は「楽しい場所」だ。「探す手間なく、珍しい動物にもすぐに会えますから」

スマトラトラ
熱帯雨林の森にすみ、トラのなかでは最も小型の種。森林伐採や密猟により数が激減し、野生では滅多に見られない。 (c)Mitsuaki Iwago
スマトラトラ
熱帯雨林の森にすみ、トラのなかでは最も小型の種。森林伐採や密猟により数が激減し、野生では滅多に見られない。 (c)Mitsuaki Iwago

 本能の赴くまま雄たけびをあげたり、人間味あふれる豊かな表情をのぞかせたり……。生きものたちのありのままの姿に迫る岩合さんが、横浜市の「よこはま動物園ズーラシア」で1週間にわたって撮影に挑んだ様子が、今年NHKの「いいZooだね。~岩合光昭の動物園歩き~」で放送され話題になった。

ミーアキャット
地下にトンネル状の巣を作り、10~30匹の群れで共同生活をおくる。一匹ごとに見張りやベビーシッターなどの役割があり、互いに助け合っている。 (c)Mitsuaki Iwago
ミーアキャット
地下にトンネル状の巣を作り、10~30匹の群れで共同生活をおくる。一匹ごとに見張りやベビーシッターなどの役割があり、互いに助け合っている。 (c)Mitsuaki Iwago

「ヒトも動物も同じ地球の仲間なんだと再確認し、自分のなかの自然が目覚める。だからこそ、どんな世代の人も『大きい!』『すごい』って素直な言葉で驚き、楽しめるのではないでしょうか。動物園は、大人が子どもに戻れる場所なんです」と岩合さん。

ヒガシクロサイ
クロサイは繊細で警戒心が強いため、野生ではなかなか近づけない。だがオスの「ニル」はとてもおおらか。保湿や寄生虫を防ぐための豪快な泥浴びを披露してくれた。 (c)Mitsuaki Iwago
ヒガシクロサイ
クロサイは繊細で警戒心が強いため、野生ではなかなか近づけない。だがオスの「ニル」はとてもおおらか。保湿や寄生虫を防ぐための豪快な泥浴びを披露してくれた。 (c)Mitsuaki Iwago

 大人にこそ、いいZooに行ってほしい。(文/本誌・大谷百合絵)

週刊朝日  2021年9月24日号

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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