ジャーナリストの田原総一朗氏は自民党の特性についてこう指摘する。

「自民党の女性国会議員が偉くなろうとすると、ジェンダーギャップを認めないとなれない。ギャップがあることが大前提で、反対だと言えば基本的に党の役員とか大臣にはなれない。だから、自民党の女性議員には保守的な発言をする人が多くなりがち」

 むしろそうした女性議員が、特に安倍前政権下では重用された。

「高市さん始め、山谷えり子議員、有村治子議員、最近は少し変わったが稲田議員ら、自民党のセンターよりも“右側”の女性を重用しました。そうした人物に男女共同参画担当大臣を任せるなど、いびつな構造でした。本来、適しているはずの野田聖子さんは、リベラルでフェミニストであるせいで党内で浮いてしまっている」(岩本教授)

動向が注目される野田聖子幹事長代行 (c)朝日新聞社
動向が注目される野田聖子幹事長代行 (c)朝日新聞社

後ろ盾ないとき真価が問われる

 岩本教授は著書『百合子とたか子 女性政治リーダーの運命』のなかで、ノルウェーの心理学者トリルド・スカアードの調査をもとに、女性が国のトップになるためには三つの道があると指摘している。

(1)権力の座にある家族から世襲する「家族代替型」

(2)政党を通じて権力の地位に就く「政党インサイダー型」

(3)非政府組織や草の根の職業、活動を基礎として権力の地位を手に入れる「アウトサイダー型」

 現役の女性議員で言えば、(1)は野田氏や小渕優子氏ら、小池氏は(3)に該当する。高市氏も(3)だ。

 そして、女性トップは三つにカテゴライズできると記す。

[1]男性支配政治の規範や価値に合致し、男性と同じように振る舞う。女性の問題にはあまり関わらない。

[2]女性と男性の利益に妥協点を見いだし、現実問題として解決を図る。「女性」でなく「政治家」であることを強調する。

[3]男性中心の政治に挑み、女性政策を推進しようとする。

 ここでは高市氏は[1]に該当するのだろう。このカテゴリーは女性同士の連帯を望めず、ライバルである男性議員とも親しくできないというもろ刃の剣だ。

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