

「スイング・ステート」が17日から全国公開される。製作総指揮にブラッド・ピット。「マネー・ショート 華麗なる大逆転」「バイス」などアメリカの裏側を描きヒット作を連発した製作会社PLAN Bの最新作。「スイング・ステート」とは大統領選における「激戦州」のこと。
大敗した民主党ヒラリー陣営の選挙参謀ゲイリー(スティーヴ・カレル)は、農村部の票を取り戻す秘策として、YouTubeで話題の人物ジャック(クリス・クーパー)を田舎町の町長選挙に立候補させる。すると対する共和党は、対立候補の元にゲイリーの宿敵=トランプの選挙参謀フェイス(ローズ・バーン)を送り込んできた。
その日から、町長選挙をめぐるゲイリーvs.フェイスの戦い、否、民主党vs.共和党の、巨額を投じた「仁義なき代理戦争」の幕が切って落とされる。選挙資金の調達やテレビCMの応酬など、あの手この手で抗争はどんどんエスカレート。次期政権を懸けたなりふり構わぬ選挙戦に勝つのは、果たして誰なのか──。
本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)
■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
有力候補者をみつくろい、田舎の町長選を支援する民主党の選挙参謀。共和党も同じこと。その結果、都会から来た選挙屋が直面する田舎の人々のしたたかさに大笑い。アメリカ人の本音は田舎にある、都会人はかなわない。
■大場正明(映画評論家)
評価:★★★
選挙参謀同士の下ネタの応酬など、いかにも滑稽に見えるエピソードが目立つが、終盤のどんでん返しから物語を振り返ってみると、赤と青ではなく、金まみれの選挙と置き去りにされた市民の分断という不条理が見えてくる。
■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★
アメリカンすぎるかが心配だったけど大丈夫! 様々な笑いが入り交じって楽しめました。単純でシンプルなのもあれば言葉遊びもあり、皮肉なシュールさも。バランスが良い。S・カレルとR・バーン以外考えられないです。
■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★
「候補者ビル・マッケイ」などアメリカに脈々と息づく選挙を扱った映画で、監督・脚本が政治風刺コメディー番組の司会を長年務めた人物なのがポイント。風刺の要素が強く、政治劇よりもコメディーとして楽しみました。
(構成/長沢明[+code])
※週刊朝日 2021年9月17日号