日本の水際対策の仕組みはこうだ。5月21日現在、159カ国・地域からの外国人旅行者などが入国拒否の対象。このうちインド、パキスタン、ネパールなど6カ国からの外国人は、日本の在留資格を持っていても原則、入国拒否となっている。

 どの国からでも日本人は再入国できるが、その場合、入国後の待機期間は14日間。その間、位置情報や健康状態を定期的に入国者健康確認センターに報告するのが基本だ。ただし、出国した国によって入国後の対応は三つに分かれる(22日現在)。

 インドとその周辺国などインド株指定国のうち6カ国からの入国者は、国指定の宿泊施設で6日間待機する。今後、待機期間は10日間に延長される見込みだ。

 その他のインド株指定国や英国型、ブラジル型などの変異株が流行している32カ国・地域からの再入国者は、宿泊施設での待機期間は3日。対象者は、検査ですべて陰性であれば、期間後に自宅などでの待機に移る。その他の国は、入国時の検査が陰性なら14日間の自主隔離が求められる。ベトナムやタイ、韓国など、これまで感染者数が少なかった国が該当する。

 だが、現状には与党内から不満が噴出している。自民党関係者は言う。

「水際対策では、外国からの入国者に位置情報を知らせるアプリをスマートフォンに導入してもらい、健康状態を毎日メールで報告することになっている。これが機能していない」

 どういうことなのか。

「厚労省によると、5月9日から15日の間に位置情報を送信しなかった人が1日あたり6644人いた。これは同期間に入国した2万2589人のうち約3割に相当します。健康状態の確認メールに返信しなかった人も5050人いました」(自民党関係者)

 入国者と連絡が取れないのは「アプリにログインできない人や、メールを確認できていない人が多いと報告を受けている」(厚労省関係者)という。現在は、空港で一度ログインをしてから入国するなどシステムを改善していると説明する。

 しかし、一度連絡が完全に取れなくなった人に、あらためて接触するのは困難だ。自民党幹部は「水際対策が水漏れし続けている」と憤る。

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