ワクチン担当の河野太郎行革担当相(左)と、田村憲久厚労相 (c)朝日新聞社
ワクチン担当の河野太郎行革担当相(左)と、田村憲久厚労相 (c)朝日新聞社

 刻一刻と日本に新たな脅威が近づいている。インドで最初に見つかったとされる新型コロナウイルス変異株が、東京、大阪などでも確認された。すでに市中感染が始まったとみられるが、国際空港での水際対策は“ダダ漏れ”で、検査も追いつかない。コロナ対策の最前線で何が起きているのか。

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 猛威を振るう新型コロナウイルス。インドで新たに発生したとみられるインド株の感染爆発により、同国内の死者は累計約30万人におよぶ。世界保健機関(WHO)によると、インド株の勢いは国境を越え、すでに世界40カ国以上に広がっているという。

 新たな脅威が近づくなか、日本では東京五輪の開催時期が迫る。それまでにどんな対策が必要となるのか。筑波大学大学院の倉橋節也教授(社会シミュレーション学)がAI(人工知能)を使用して導いた試算によると、開会式のある7月23日までに東京都内の新規感染者数を最小限に抑えるには、1日あたりの感染者が都内で100人を切るまで緊急事態宣言を解除しないことが必要だという。倉橋教授は言う。

「AIの予測では、100人で解除しても、8月下旬には千人を超える感染者が出る。その後はワクチンの効果が出てくるので、10月以降はピークの波は小さくなります」

 これだけでも五輪を開催していいか疑問だが、この試算は英国株が前提。インド株が入ってくれば、予測を超える感染拡大をもたらす恐れがある。

「もし、インド株が英国株より感染力が強く、日本国内で広がれば試算の前提が変わります。また、ワクチンの接種がこれ以上遅れるようなことがあれば、感染者数の抑制も後ろ倒しになるでしょう」

 実際、日本のワクチン接種は先進7カ国(G7)で最も遅れており、今後の進展もまだ不透明だ。

 となると、日本の最優先課題は変異株を国内に持ち込まないことだ。田村憲久厚生労働相も「国内に入らないような対応をしなければ」と、水際対策の強化を訴える。

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