小豆には、健康にいいとされるポリフェノールやたんぱく質、サポニン、イソフラボンなどが含まれている。

 たんぱく質の含有量では、小豆が100グラム当たり約20グラム。大豆の約33グラムに比べると少ないものの、「逆に、大豆よりも小豆はたくさん食べることができる」(同)点に注目したい。

 サポニンは、抗酸化作用があるとされ、悪玉コレステロールの蓄積を抑えたり、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の予防につながる。豆類に多いイソフラボンはエストロゲン(女性ホルモン)と似た構造と働きがあり、閉経後の女性にとってエストロゲンの不足を補ってくれる。更年期障害や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を予防したり、肌の調子を整えたりするのを助けるという。

 そもそも、発酵あんこは発酵食品なので、腸内環境の改善にも一役買ってくれる。「腸内環境や血管、骨、フレイル(虚弱)の予防などにもいい」(同)となれば、まさに“最強”の健康食材だといえる。

 発酵あんこは、煮た小豆とこうじに水を加えて60度に保ち、8~10時間くらい発酵させればできるそうだ。栗生さんに具体的な手順を教えてもらった。

 まずは、カップ1杯の小豆とその約5倍の水を鍋に入れ、5~10分ほどゆでた後に10分ほど蒸らす。

 小豆の渋みを除くため最初だけ、ざるにあげてゆで汁を捨てる(ゆでこぼし)。小豆を再び、3カップの水で煮て、5~10分したら1カップの冷水(びっくり水)を加える。これを2、3回繰り返す。吹きこぼれを抑え、水分を補うための作業だという。水分が少し残るように煮るのだが、「発酵にはやや軟らかめぐらいが向いています」と栗生さん。

■ゆでこぼし必須 水分が甘さ左右

 いよいよ発酵に移るが、使うのは電気炊飯器だ。こうじ菌は60度を超えると死滅するので、小豆は60度以下、できれば約40度まで冷ます。指で触って熱くない程度だ。

 こうじは生こうじでも、同量の水に浸した乾燥こうじでもいいそうだ。炊飯器にゆでた小豆とカップ1杯のこうじを入れ、その上に1センチくらいまで水を加える。

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