発酵あんこ (栗生隆子さん提供)
発酵あんこ (栗生隆子さん提供)
あんみつにのせた発酵あんこ (栗生隆子さん提供)
あんみつにのせた発酵あんこ (栗生隆子さん提供)

 甘いスイーツや菓子を思いっきり食べたいけど、砂糖が気がかり……。そんな人たちに朗報なのが「発酵あんこ」だ。砂糖を一切使わない食材で、血糖値を上げにくいスイーツになるという。鬱々とするコロナ禍で、少しでも甘く幸せな気分をかみしめたい。

【写真】あんみつにのせた発酵あんこ

*  *  *

「体にいいことずくめ。健康食なので、ぜひ取り入れてほしい」

 発酵あんこ(発酵小豆)をこう絶賛し、“太鼓判”を押すのは、東京慈恵会医科大学付属病院栄養部の管理栄養士、赤石定典さんだ。

 小豆はもともと、体によいとされてきた食材。通常は、同じ量の砂糖と煮て「あんこ」となり、和菓子などに使われる。砂糖が多く入っていることから、食べるときに“罪悪感”がつきまとった。

 発酵あんこはその点、小豆に含まれるデンプンがこうじの酵素で変化して、自然な甘みを醸し出す。

「食物繊維が豊富で、血糖値の上昇を抑えてくれる。糖尿病の人も基本的に問題ありません」(赤石さん)というから、うれしい。砂糖をまったく使わない、まさに夢のスイーツなのだ。

 そんな発酵あんこに魅せられた一人、発酵生活研究家の栗生隆子さんに話を聞いた。

 栗生さんは、14歳のころから約20年間、原因不明の体調不良に苦しんだ。過敏性腸症候群のような感じで、頭痛や下痢、腹痛などをもよおし、下痢止めを飲むなどしていたという。「いくつも訪れた病院の検査では異常が出ず、路頭に迷っていました」

 ところが、小豆と玄米を炊いてつくる酵素玄米や、小豆とかぼちゃを煮た小豆かぼちゃなどを食べると体調が回復。「体から悪いものがすーっと流れ出た感覚」(栗生さん)をおぼえ、小豆の持つ“解毒作用”を実感したという。

 近年、食事で注目されるのが、食後の短時間に血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」。動脈硬化や糖尿病、心筋梗塞や脳卒中、認知症につながりかねないからだ。

 炭水化物などが消化吸収されてブドウ糖となり、血液に入ったときの濃度が「血糖値」なのだが、「発酵あんこはつくるときに砂糖を使わないので、血糖値が上がりにくい」(赤石さん)。食後のデザートというよりも、前菜のようにして食べると効果的だという。

次のページ