(4)ファンの思い

 4月を首位で終えたことで、阪神ファンたちは「今年はいけるんちゃうか」と、そわそわし始めている。

 ただ、気になるデータがある。前回首位で4月を終えたのは2008年。実はこの年、7月上旬に2位に13ゲーム差をつけたが大失速し、巨人の逆転を許した。8月の北京五輪日本代表に現監督の矢野、藤川球児、新井貴浩が招集されたことも響いた。

 「ミスター・タイガース」掛布雅之さん(65)の時代から甲子園に通う東大阪市の会社員男性(63)は、「確かに08年みたいなこともあるからわからん。けど、今年のオリンピックには阪神は選手とられへんやろうから大丈夫や!」。

 一方、応援したいファンにもコロナの影響は覆いかぶさる。元々、今季は応援で声出しは厳禁。六甲おろしも歌えないうえ、一目だけでも姿を見たいと思ってもかなわない。緊急事態宣言が大阪、兵庫で発出され、甲子園も無観客での開催を余儀なくされた。

 東大阪市に住む自営業の女性(66)は「悲しいわ。いつになったら入れるんや。弱い阪神なら来て応援したいとは思えへんかもしれんけど」。

 大津市の会社員男性(33)は「店も球場もあかへんかったら、関西経済まわらへん。阪神好調で、みんなお金使いたいのに。ほんまやったらもう道頓堀に何人も飛び込んでるやろうにな。それもできひん」。

 球団にとっても無観客開催は痛手だ。グッズショップも閉じている。グッズ担当の職員(32)は「ぼくらに限らず小売業はどこも……」。

 ただ、大きく虎の顔がド派手にプリントされたユニホームは、オンラインショップで予想外に売れているという。

「『大阪のおばちゃんみたい』と発表したときには賛否両論でしたが、チームがそれを着て勝つので良い印象がついたようで」

 思い返せば、春の沖縄キャンプの打ち上げで選手会長の近本光司は力強く言った。

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今年から黄金期?