だが、災害リスクの観点からは別の顔が見えてくる。木更津市沿岸部にある調査地点の地盤スコアは「普通」レベルの60点で、震度6弱以上の地震に見舞われる確率は61.3%と比較的高いのだ。東京湾岸には関東大震災を引き起こした関東南部沖合の「相模トラフ」などがあり、地震のリスクが大きいとされる。東京圏の上昇率トップ10のすべてが最高レベルの水準だった。

「歴史的に見て比較的最近埋め立てた土地など、人工的に形成されたエリアは地盤が弱いところが多い」(前出の地盤ネットHDの担当者)

 南海トラフ地震の被害が想定される名古屋圏でも、地価上昇率トップ10のいずれも地震の確率は高かった。

 一方、大阪圏の住宅地で伸び率が最も大きかった大阪府箕面市は、地盤スコア55点、地震の確率は11.1%。地震の確率が高い地域が多い大阪周辺にしては相対的に低い。同市は比較的内陸にあり、JRや阪急などの鉄道駅にも近い。鉄道の延伸や大阪大学の新キャンパス開設に伴い人口増も見込まれることから、ベッドタウンとしての評価が上がっている。災害リスクの点から見ても、理にかなった値上がりといってよさそうだ。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2021年4月30日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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