もちろん、健康にいいとはいえ、多く摂取すればいいというものでもない。その摂取量には気をつけるポイントがある。
管理栄養士の尾花友理さんは「大さじ1杯(15ミリリットル)までを目安にしたらいい」とアドバイスしてくれた。肉や加工食品、ナッツ類などに親しんだ食生活を続けていると、意外と油を摂取していることが多いからだという。
「どんな油も高カロリーであることは確か。油のとりすぎを防ぐのは難しいですが、ごま油は香りがいいのが特徴で、少量でも加えると風味がアップします」
そこで、ごま油を使った尾花さんお勧めのレシピがある。その名も「お手軽ビビンバ」。韓国風どんぶりといった料理で、ちぎった韓国のりと、ごま油を混ぜたご飯を用意する。3センチほどに切った小松菜を電子レンジに入れて、600ワットで1分半加熱。焼き肉のたれを加えてフライパンで炒めた豚肉と合わせてご飯に盛りつければ、できあがりだ。
富士経済の調べでは、ごま油の国内市場は400億円程度とみられている。ここ10年ぐらいで食用油市場とほぼ同じように2~3割の伸びが続いている。消費者の健康志向を背景に、風味もよいことから注目されてきたようだ。
ごま油の原料となるごまの栽培は、手間がかかるうえ収量が少ない。国内ではいまや、ほとんど生産しておらず、輸入に頼っているのが現状だ。日本植物油協会によれば、主な生産地はアジアやアフリカ、南米。しかし、こうした生産国で続いているごま栽培も、長期的には途絶えてしまうのではないかとの懸念を抱えているという。さらに、主要な輸入国として中国が台頭し、十数年ほど前に日本を抜き、最大の輸入国となった。需給逼迫(ひっぱく)や激しい輸入競争を受けて、ごまの国際価格は高まる傾向にある。
とりすぎにはくれぐれも注意しつつ、健康に役立てたい。(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2021年4月16日号