小池百合子東京都知事(C)朝日新聞社
小池百合子東京都知事(C)朝日新聞社
AIが予測した英国型の感染爆発のグラフ※グラフは筑波大大学院の倉橋節也教授のシミュレーション結果をもとに編集部が作成。「緊急事態宣言」は、今年1月8日に宣言が発令された時に得られた感染減少と同じ効果を再現。東京都のデータの制約で、高齢者の優先接種は実際の65歳以上ではなく60歳以上で設定している
AIが予測した英国型の感染爆発のグラフ

※グラフは筑波大大学院の倉橋節也教授のシミュレーション結果をもとに編集部が作成。「緊急事態宣言」は、今年1月8日に宣言が発令された時に得られた感染減少と同じ効果を再現。東京都のデータの制約で、高齢者の優先接種は実際の65歳以上ではなく60歳以上で設定している

【グラフ】AIが予測した英国型変異株の感染爆発

 変異株の影響なのか、新型コロナウイルスの感染再拡大が止まらない。すでに始まったとみられる「第4波」はどこまで拡大するのか? AIによる予測で、驚くべきシナリオが浮かび上がった。

 首都圏の緊急事態宣言が解除され、ようやく一息ついたと思ったのもつかの間。早くも「第4波」が襲ってきた。

 注目されるのは、3月1日に一足早く緊急事態宣言が解除されていた大阪府。4月3日には、過去最多となる666人の感染者が新たに確認された。大阪の医療現場はすでに事実上の“緊急事態”だ。大阪医療労働組合連合会の前原嘉人書記長は言う。

「大阪市内のコロナ病床は3月下旬から急速に埋まり始めました。第4波は予想していましたが、思ったより早かったというのが実感です」

 菅義偉政権は4月5日から大阪府、兵庫県、宮城県に緊急事態宣言に準じる「まん延防止等重点措置」(重点措置)を初適用した。大阪の吉村洋文府知事は「人数が多い会食だとリスクが高まるから4人以下で、マスク会食を」と訴える。だが、専門家で「重点措置」に期待する人はまれだ。西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)は言う。

「吉村知事は、2月末の段階で首都圏より早い緊急事態宣言の解除を訴え、経済活動を再開させました。それから1カ月で『重点措置』による行動制限を府民に求めても、効果は期待できません」

 感染者が増えても、外出する人は急激に減りそうもない。だが、その陰では日本に新たな脅威が近づいている。コロナウイルスの遺伝子が変異した「変異株」の急拡大だ。

 兵庫県では3月15~21日の感染者抽出調査(神戸市を除く)で、英国型の変異株の割合が、実に80%に上った。関西を中心に、変異株は全国に急速に広がりつつあると思われる。

 日本で広がる変異株の約9割が英国型で、感染力は従来型より7割高く、致死率も上昇するとの推計もある。まん延すれば、あっという間に感染爆発する可能性が高い。

 そのことは、筑波大学大学院の倉橋節也教授(社会シミュレーション学)がAI(人工知能)を使用して導いた試算でもはっきりと示されている。

著者プロフィールを見る
秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

秦正理の記事一覧はこちら
次のページ
規制なしならば1日23万人感染も