ALS、アルツハイマーも根治? iPS細胞が持つ「難病治療」の可能性 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ALS、アルツハイマーも根治? iPS細胞が持つ「難病治療」の可能性

小久保よしの週刊朝日#医療#病気
※写真はイメージです (GettyImages)

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iPS細胞を使った再生医療の主な臨床研究 (週刊朝日2021年2月26日号より)

iPS細胞を使った再生医療の主な臨床研究 (週刊朝日2021年2月26日号より)

 2006年に京都大学の山中伸弥医師らが世界で初めて作製に成功した、iPS細胞(人工多能性幹細胞)。山中医師が12年にノーベル医学生理学賞を受賞し、その名は世界中に知られることになった。

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 日本から生まれた新しい医療技術に、各方面から大きな期待が寄せられた。13年度から10年間の計画で再生医療に対して約1100億円もの国費の投入が決まり、その多くがiPS細胞の再生医療に注がれ、現在に至っている。日本で「再生医療といえばiPS細胞」というイメージを持つ人は少なくないだろう。

 iPS細胞を使った再生医療は今、どうなっているのか。この記事では、その“現在地”を伝えていきたい。

 はじめにiPS細胞について解説しよう。iPS細胞は、皮膚や血液などの体細胞からつくり出すもので、その名のとおり「人工的につくられた多能性幹細胞」である。多能性とは、受精卵が胚盤胞という段階を経て胎児になり、耳や口などの各器官をつくって成長していくように、さまざまな組織の細胞に変化できる能力を示す。この変化を分化という。あらゆる組織や臓器を再生できる可能性があるのだ。

 山中医師は、人の細胞がそうやって多能性のある細胞に“初期化”できると発見したからこそ、ノーベル賞を受賞することとなった。その多能性に加えて、体細胞に少数の因子を導入して遺伝子を操作し、培養することでほぼ無限に増殖する能力を併せ持つのが、多能性幹細胞だ。

 iPS細胞は、患者本人の体細胞からも他人の体細胞からもつくることができる。患者本人の体細胞からつくれば移植後の拒絶反応が小さいメリットがあるが、コストや時間がかかってしまうデメリットもある。一方で他人の体細胞からつくれば備蓄が可能で、比較的早期に患者のもとへ届けることができるが、移植後に拒絶反応を起こさないよう免疫抑制剤の使用などの工夫が必要になる。

 山中医師が所長を務める京都大学iPS細胞研究所は、iPS細胞バンクとも呼べる「再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト」に力を入れている。患者本人の体細胞からつくるiPS細胞は膨大なコストと時間がかかるため、つくられたバンクだ。健康なボランティアの血液からつくったiPS細胞を保管して、さまざまな研究機関の臨床研究にiPS細胞を提供している。ここでは、拒絶反応を起こしにくい特殊な白血球の型(HLA型)を持つ人のiPS細胞が備蓄されている。


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