ドラマの舞台は日本による統治直前の朝鮮で、日本の描かれ方が物議をかもした作品だ。幼少期に朝鮮で両親を貴族に殺されるというつらい経験をしたイ・ビョンホン扮する主人公は密航し、米国へ行き、米国軍人となり、祖国に戻ってくる。キム・テリ扮するヒロインの大貴族令嬢と出会い、祖国を守るためひそかに戦うが……。「韓流ぴあ」露木恵美子編集長がこう解説する。

「イ・ビョンホンはあまり笑みを浮かべない愁いある将校役なのですが、ヒロインとのふれあいで少しずつ変わっていきます。軍服を着たイ・ビョンホンは、若い頃と変わらず素晴らしかった」

 正統派二枚目のイ・ビョンホンがコミカルな役作りで新境地を開いたのは映画「それだけが、僕の世界」(18年)だ。イ・ビョンホンが元プロボクサーで、サヴァン症候群の弟を持つダメな兄を演じ、「お薦めの感動作です」(露木さん)。

 最近、Netflixでは過去のヒット作品を配信しているが、中でもお薦めは、「美男<イケメン>ですね」の脚本家による「マイガール」(05年)だ。「トッケビ」の死神役イ・ドンウク主演で、脇役にイ・ジュンギが登場する。財閥の御曹司×同居×三角関係という韓流ドラマの王道を味わえる。

 韓流好き必見の映画として露木さんがあげるのは、ソン・イェジン主演の「ラブストーリー」(03年)。女子大生役のソン・イェジンが母の初恋相手との思い出の品を発見する。そこから始まる母と娘の2代にわたる時を超えた恋物語。

「娘役のソン・イェジンは、友達の好きな先輩にメールを代筆していたのですが、ソン・イェジンもその先輩が気になって気持ちが揺れていきます。母の初恋と重なっていく切ないラブストーリーです」(同前)

 2月19日から公開される「藁にもすがる獣たち」は、銭湯のロッカーに忘れられた大金をめぐり、借金を抱えた人たちが欲望をむき出しにして奪い合うサスペンス。曽根圭介の同名小説が原作。

「10億ウォンをめぐる争奪が繰り広げられる中、巧妙に伏線が張られ、最後まで誰が大金を手にするのか予測のつかない展開に目が離せません」(同前)

(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2021年2月5日号