スーパーマーケット内のイメージ(Getty Images)
スーパーマーケット内のイメージ(Getty Images)
電車内のイメージ(Getty Images)
電車内のイメージ(Getty Images)

 新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、営業短縮を求められるなど飲食店が何かと“標的”にされている。だが実は、「感染拡大リスクが最も高いのはスーパー(マーケット)と電車内」だとする調査結果が、にわかに注目されている。

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 会う人を自身のコミュニティー内に限定すれば感染拡大を抑えられるとする「Stay With Your Community(ステイ・ウィズ・コミュニティー)」。この提唱者であり、データ分析を専門とする東京大学大学院工学系研究科の大澤幸生教授が、このほどまとめたものだ。

「普段の日常生活の中で接触する人は、家族や恋人、同僚など『意図して会う人』と、それ以外の『予期せず会う人』に分けられます。すべての人を見た時、予期せずに会う人の数が意図して会う人の数を超えると、大きな感染爆発が起きます」

 大澤教授はこうした考え方に基づいて、約1300人にアンケートを実施。さまざまな場所での接触相手の種別や人数などを聞き取った。

 場所ごとの感染拡大リスクを算出した結果、「数字の上ではスーパーと電車内が、圧倒的に数字が大きい。次いで飲食店と居酒屋、そしてオフィスと続きます」。

 新型コロナに関する政府の感染症対策分科会は「感染対策のとられている店舗での買い物や食事、十分に換気された電車での通勤・通学での感染の可能性は限定的」としているが、矛盾しないのか。

「スーパーや電車内は会話をする場所ではないので、感染拡大のリスクは現状ではあまりない。政府の言う通り、限定的。ただ“潜在リスク”が非常に高く、気が緩むなどして感染対策がおろそかになれば、最も危険な場所になり得ます」

 会話する乗客や買い物客が増え出すと、前述したコミュニティー外の「予期せず会う人」へ影響を及ぼしやすく、感染拡大のリスクが非常に高くなる。注意したいのは、その人自身が感染するリスクではなく、その人の行動によって“社会全体の感染に影響するリスク”ということだ。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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