前回の19年分の確定申告は、新型コロナの影響で期限が延びた。今回も、延期される可能性は残る。だが、小林さんは「申告の内容よりも、期限を守ることを優先したい」と注意を促す。

「申告の内容に不備があった場合に科されるペナルティーと、申告の期限に遅れて無申告の扱いになってしまった場合の罰則を比べると、無申告のほうが重い。100%の内容を目指すよりも、まずは期限内に間に合わせるようにしましょう」

 無申告の場合の「無申告加算税」の税率は、本来納める税額が50万円までは15%、50万円を超える部分は20%。所得額を少なく申告するなどした場合の「過少申告加算税」よりも5%ずつ重い。また、過少申告加算税は、本来払うべき税額と申告した額の差額をベースに計算するのに対し、無申告加算税は、本来払うべき税額そのものをもとに計算する。

 本来納めるべき税金が200万円なのに、無申告もしくは100万円しか払っていなかったケースを想定すると、無申告加算税は50万円×15%+150万円×20%=37万5千円に対し、過少申告加算税は(200万円-100万円)×10%=10万円で、大きな差がある。

 税金はコロナ禍でも容赦なくとられ、逆に、払いすぎても税務署が教えてくれることはない。知らないまま放っておくと、損をするだけだ。大変な時期だからこそ、しっかり備えたい。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2021年1月29日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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