カン・ドンウォン [撮影/Jungwook Mok 写真提供=YG ENTERTAINMENT]
カン・ドンウォン [撮影/Jungwook Mok 写真提供=YG ENTERTAINMENT]

「私たちの幸せな時間」(2006)の死刑囚役で見せた繊細な演技、「群盗」(14)の武芸の達人役で見せた息をのむほど美しい剣術。どんな役でも消化してしまうカン・ドンウォン。主演する「新 感染半島 ファイナル・ステージ」(以下「新感染半島」)が日本で公開された。

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「新感染半島」は韓国では昨年7月に公開され、コロナ禍でも380万人を超える観客を動員した。海外190カ国・地域に販売され、世界の映画館に観客を呼び戻す起爆剤となった。釜山行きの高速鉄道KTXをゾンビが襲った「新 感染 ファイナル・エクスプレス」(以下「新感染」)の続編に当たる。監督も同じヨン・サンホが務めた。公開は4年後だったが、内容も4年後だ。朝鮮半島は廃墟と化し、ゾンビがうごめくなか、わずかに生き残った人間も暮らしていた。カン・ドンウォン演じるジョンソクは、4年前に船で半島を脱出し香港へたどり着いたが、その過程で家族を失い、廃人のようになっていた。そんななか、半島に停車中のトラックから大金を回収するという仕事を受け、再び半島へ向かう。

 筆者は7月の韓国での公開を前にソウルで開かれた試写会と記者会見に出席したが、この時のカン・ドンウォンは多くの出演者たちのなかでカリスマ的な存在感を放っていた。質問への答えもゆっくり明確に核心部分だけを語った。「近寄りがたいトップスター」というイメージで、一時帰国して日本から改めてオンラインでインタビューすることになり、いつになく緊張した。ところが、パソコンの向こう側に現れたカン・ドンウォンはリラックスした雰囲気で「アンニョンハセヨ!」と明るく声をかけてくれた。直接韓国語でインタビューすることを告げると、逆に日本語で「よろしくお願いしまーす」と言って笑顔を見せる余裕っぷり。大勢の前とはまた違う、素顔に近い感じがして、一気にこちらの緊張もほぐれた。

 まずはコロナ禍でのヒットについて率直な感想を聞いた。

「観客の皆さんには本当に感謝しています。このような状況の中でもワールドワイドの公開となり、うれしいです」

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