とは言え、「新感染」は韓国で観客数1150万人を超える大ヒットだったことを考えると、コロナ禍でなければ1千万映画になった可能性は大きい。それについては「もちろん、もっとたくさんの観客に見てもらえたとは思いますが、これも運命ですから」と、潔く受け入れているようだ。

 4年前の「新感染」には「びっくりした」と言う。

「ゾンビ映画と言えばB級映画に分類されることも多いなか、世界的にヒットするようなゾンビ映画が韓国で作られ、誇らしい気持ちになりました」

 大ヒット作の続編への出演は、最初に声がかかった時点では判断できなかった。それが、ヨン監督に会って変わった。

「監督の持っているビジョンが素晴らしく、シナリオを読むと、続編というよりも独立した作品だと感じました。ポスト・アポカリプス(終末もの)には一度出てみたかったのもあり、出演したいと思いました」

 監督の演出は「とてもやりやすかった」と言う。

「アニメーションの監督だからこそ、絵が本人の中で明確で、編集の感覚も素晴らしい」

 CGが多い作品だったので、想像しながらの演技は難しいのではと思ったが、その点は「僕自身も頭の中に絵コンテをしっかり入れて演じるほうなので、難しくはなかった」と話す。撮りたい絵が明確な監督との相性はぴったりだったようだ。

 ジョンソクについては「ヒーローだけど、ヒーローじゃないキャラクター」と言う。

「普通の人に近い目線で映画を引っ張っていく存在で、むしろミンジョンたちの家族がヒーロー」

 ミンジョン(イ・ジョンヒョン)の家族というのは、再び半島に戻ってきたジョンソクが新たに出会う家族だ。

「ジョンソクは普通の人」とは言うが、軍人出身でアクションシーンは多い。カン・ドンウォンはスタントマンをほとんど使うことなく直接演じているのだが、身のこなしが自然でキレもあって、決して普通の人ではない。訓練の賜物なんだろうと思って聞いてみたが、「普段から準備できているので」と笑う。大したことじゃない、という感じだ。

「これまでありとあらゆるアクションを経験してきたので、それらを生かすことができたのではないかと思います」

次のページ