「政府とすればさらなる時短要請の結果も見極めた上で、主体的に再発出について判断したように国民に見せたかった。1都3県がこの条件での合意に時間がかかり、いずれ足並みが乱れるという思惑もあったでしょう。ところが翌3日には1都3県の調整があっさり完了し、『20時閉店』を表明されてしまった。誤算でした」(前出の官邸関係者)

 追い込まれた菅首相は4日の年頭会見で「緊急事態宣言の検討に入る」と表明せざるをえなかった。海千山千の「女帝」の策の前に屈した形だ。都政の専門紙「都政新報」の後藤貴智編集長が言う。

「小池氏一人では門前払いされた可能性がありますが、まず埼玉県の大野元裕知事と協調し、菅首相に近く、当初乗り気ではなかった神奈川県の黒岩祐治知事と千葉県の森田健作知事もうまく巻き込んだことが大きかった。小池氏が政治的手腕を見せつけた形になりました」

 こうした駆け引きの背景には、以前から続く菅首相と小池氏の対立があるとみられる。菅首相が飲食店の閉店時間前倒しにこだわったのも「小池氏の対応に問題があると印象づけたいから」(自民党関係者)との見方がもっぱらだ。

 菅首相は「北海道、大阪など、時間短縮を行った県は結果が出ている」と繰り返し主張してきた。だが、本誌が入手した政府の内部資料によれば、北海道と大阪の直近約2カ月(11月~1月5日)の死者数はそれぞれ369人、377人と、東京都の193人を大きく上回る。7日には大阪府内の新規感染者数が過去最高の607人を記録した。小池氏をワルモノにするため「北海道や大阪は感染抑え込みに成功した」という“印象操作”に他ならない。

 年明け早々の西村氏の“やらかし”にも批判が噴出している。

「西村大臣は、元日にツイッターで<宮中の新年祝賀の儀に参列してまいりました>と書いた文章をタキシード姿の写真を付けて投稿しました。静かな年末年始を過ごすよう呼びかけていたのに、自分が新年会に出かけていた。危機感が欠如していると周囲はあきれています」(前出の官邸関係者)

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国会を閉じて特措法改正の議論を先送りしたツケ